査読は面倒だ。最近はいくつかの雑誌でその年のreviewerリストを公開しているようで、それなりの雑誌に名前が載っているとうれしいのだが、それ以上でもそれ以下でもない。ただ現状では査読システムがないとうまく科学が回らないのも事実で、科学に少しでも貢献できればと思って自分の時間を削ってでも基本的に引き受けることにしている。 そしてこれまでに査読において3回「不正」のある論文に出会った。後進のためにも情報を記そうと思う。 1つめは少し前の話。査読で回ってきた論文がいわゆる捏造論文だった。研究室レベルでは過ちが起こらないように性悪説に基づいた対応も必要かと思うが、査読は性善説に基づいて行われる。いつぞやの事件の時になぜ査読者が捏造を見破れなかったのか?などと世間でも問題提起されていたこともあったが、そんなものは査読者の義務ではない。 ということで基本的によほど怪しい論文以外は捏造を疑いもしないの
野生のオランウータン同士で、共謀による殺害が発生2016.02.08 08:0021,016 scheme_a 野生の中でも人間のようなドロドロな事件が…。 ボルネオ島の人類学者達は、オランウータンのオスとメスの珍しい共同作業を観察しました。なんと、2頭でほかのメスを殺害したのです。メス同士の争いが殺害に発展したのを観察したのはこれが初めてで、そこに至る過程は、オランウータンの行動に関する私たちの固定観念を破壊してしまうものです。 意地悪なことで知られる霊長類は、喧嘩することは決して珍しくないのですが、Behavioral Ecology and Sociobiologyにて報告された事件は、とある種類の霊長類に関する常識を覆しました。スイス、チューリッヒ大学の人類学者であるAnna Marzec氏はインドネシアのマワスの保安林で起きた出来事を記述しており、その内容は残酷なものでした。 争
岡山大(森田潔学長)の大学病院幹部が著者に含まれる医学論文について、研究不正の告発を受けて調査した学内の調査委員会が、実験画像の切り張りを確認したものの、本来必要な生データとの照合をしないまま「不正なし」と結論づけていたことが分かった。調査報告書は文部科学省や告発者に提出されたが、切り張りや生データについての記載はなく、別の論文でも実験条件を示した画像説明に食い違いがあったのに問題視しなかった。 同大医歯薬学総合研究科の教授2人が複数の論文について告発し、調査委が昨年3月に結論を出した。研究不正についての国のガイドラインは、不正なしと判断された場合は調査結果を公表しないと定め、大学も公表しなかった。
昨年、まったくのアドリブ、思いつきで即興でまとめたのだが、けっこう反響があったランキング。 2014年『SFだ』と思った、SF的想像力が刺激された事件ベスト10 - http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20141222/p5 ことしは「そんなにSFっぽい事件はなかったやろ?」と作るつもりはなかったのだが、試しに列挙したらおさまりきれないぐらいだったので、一応並べてみる。 あと、自分の「SF」には、いわゆる「サイエンスフィクションじゃなくてシミュレーションフィクションだ」、なんて言葉遊びもあったようなアレ……政治や国際状況などが想像を超えて大きく変動する、ポリティカルフィクション的なものも含有していますので、ハードSFファン(SF警察)の旦那は、おめこぼしくだせぇ。 ■2015年『SFだ』と思った、SF的想像力が刺激された事件ベスト10 1位 ドナルド・トランプ現象。
巷で大騒ぎになっているこの一件ですが、元ネタとなった論文を引っ張ってきてみて中身を見てみたところ、思ったよりも深刻そうな内容であったため、レビューさせて頂きます。 独VW、排ガス不正で特損8700億円計上 対象1100万台 2015/9/22 20:30 【フランクフルト=加藤貴行】欧州の製造業を代表する企業である独フォルクスワーゲン(VW)の経営が、米国での排ガス試験の不正問題で大きく揺さぶられている。米当局は最大で約2兆円の制裁金を科すことを検討しているもよう。対象車両は世界で1100万台に上る可能性があり、VWは22日、対策費用として65億ユーロ(約8700億円)を特別損失に計上すると発表した。トヨタ自動車と世界首位を争うVWのブランドイメージにも打撃となりそうだ。 VWによると、VWグループのディーゼルエンジン「EA189」を搭載した車両で、排ガスの試験の結果と実際の走行時の排ガス
ボグダノフ事件(ボグダノフじけん)は、フランスの双子の兄弟でもあるイゴール・ボグダノフ (Igor Bogdanov、1949年8月29日 - 2022年1月3日[1]) ) とグリシュカ・ボグダノフ (Grichka Bogdanov、1949年8月29日 - 2021年12月28日[2]) によって著された一連の理論物理学論文の正当性を巡る学術論争である。 ボグダノフ兄弟の論文は、複数の権威ある科学誌に掲載された。彼らはこの内容を「ビッグバンの際に何が起こったかを記述する理論を提案する理論として最高のものである」と主張した。 その後、ボグダノフ兄弟の一連の論文について、学術誌への掲載論文を選考するために物理学分野で採用されている査読制度の脆弱さを示すための手の混んだ悪戯だという風説が、2002年頃にネットニュースサイト・ユーズネットのニュースグループ上で広まった。つまり、学術誌には論文
STAP(スタップ)細胞の論文不正問題で、理化学研究所は、捏造(ねつぞう)など不正4件を認定した小保方晴子・元研究員(31)の刑事告訴はしない方針を決めた。 近く理研の不正防止策などに対する評価をまとめる外部有識者らの「運営・改革モニタリング委員会」も、告訴見送りを容認する見通し。STAP問題は、昨年1月の論文発表から約1年2か月を経て、不正の経緯に謎を残したまま、真相究明を終えることになる。 理研は先月、小保方氏を「懲戒解雇相当」とする処分を発表。「STAP細胞は、別の万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)が混入したもの」とした昨年末の調査結果に基づき、小保方氏を含む誰かが理研のES細胞を盗んだ可能性などを検討した。 しかし、関係者によると、保管中のES細胞は誰でも持ち出せる状態で、混入の経緯は突き止められていない。理研が弁護士と相談した結果、故意ではなく器具の誤操作で混入した可能性
下村文部科学相は13日、閣議終了後の記者会見で、東京大や大阪大など24機関に所属する生命科学系の研究者47人の論文84本に、データ画像などの使い回しがあるとの告発が文科省にあり、各機関に確認を求めたことを明らかにした。 文科省によると、問題が指摘された論文は1996~2007年に発表された。下村文科相によると、インターネット上での匿名の投稿で指摘があり、文科省へは6日に文書で告発があった。下村文科相は「不正が確認された場合は、研究資金の申請制限などの対応を行う」と述べた。 東大広報課は「投稿内容はすでに認知しており、情報収集を行っている」、大阪大研究推進課は「ネットの情報をみて事実確認をしている。大学として調査するかどうかは決めていない」としている。
私事によりここ数日は休暇を取り多忙であったため出遅れてのコメントになります。 そのつもりはなかったのですがこちらでの発言に対して匿名での(卑怯な)告発扱いをされたこともあり最近は実名でTwitter(@caripso)での発言だけにしていました。今回こちらに書くのは140文字では収まらないからですが,色々騒がせてしまったこともありこのアカウントはこのエントリで最後にしようかと考えているところです。 私は調査委員会そのものに呼ばれたことはなく,解析も担当していないため発言には制約を受けないと考えますので思うところを述べていきます。以下の発言は組織とは全く関係なく,私一個人の意見です。 調査報告書に示された残存サンプルの解析は情報量も解析内容も膨大かつ詳細で,感嘆せずにはいられませんでした。 関係者の皆様のご苦労をねぎらうとともに感謝を捧げたいと思います。 一方で,調査対象になった著者のうち事
STAP細胞の問題で、理化学研究所の調査委員会は、小保方晴子元研究員らが発表した論文の主な結論は否定され、その証拠となった緑に光るマウスなどはいずれも別の万能細胞のES細胞が混入したか、混入で説明できることが科学的な証拠で明らかになったとする報告書をまとめました。 そのうえで、これだけ多くのES細胞の混入があると過失ではなく故意である疑いが拭えないが、誰が混入したのか特定できないと判断したとしています。 理化学研究所は、STAP細胞の論文にねつ造と改ざんの2つの不正があると認定したあと新たな疑義が指摘されたため調査委員会を設置し、小保方元研究員が保管していた細胞や実験のオリジナルデータなどを詳しく調べてきました。 その結果、STAP細胞が出来たとする論文の主な結論は否定され、その証拠として論文に示された緑に光るマウスやテラトーマと呼ばれる細胞組織などは、すべてES細胞が混入したか、混入によ
東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質は、核燃料のメルトダウンや水素爆発が相次いだ事故発生当初の4日間ではなく、その後に全体の75%が放出され汚染を深刻化させていたことが、日本原子力研究開発機構の分析で分かりました。 政府などの事故調査はこの時期に何が起きていたかを解明しておらず、専門家は「放射性物質の大量放出がなぜ長期化したのか、原因の解明が求められる」と話しています。 福島第一原発事故の規模は、放射性物質の放出量からチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」とされていますが、放出の詳しい全体像は明らかになっていません。日本原子力研究開発機構の茅野政道所長代理らの研究グループは、原発周辺などで観測された放射線量の新たなデータを集め、大気中への放出状況を詳しく分析しました。 その結果、事故が起きてから放出がおおむね収まった3月末までに放出された放射性物質の量は47万テラベク
一般的な話題 そこまでやるか?ー不正論文驚愕の手口 2014/12/15 一般的な話題, 化学者のつぶやき Nature, ORCID, STAP細胞, 不正, 捏造|ねつぞう コメント: 0 投稿者: ペリプラノン 研究者にとって論文が受理されるかどうかは一生を左右しかねない問題です。筆者も論文を投稿する時はいつもドキドキしています。 しかし今年世間を賑わせたあの大ニュースでも明らかになった通り、論文をめぐる不正というのはあとを断ちません。ちょっとした文章の剽窃から、大々的なデータの捏造まで不正の手段は様々ですが、正直そこまでやるかという新たな不正が顕在化しつつあります。 その不正の方法とはどんなものでしょうか? 今回のポストではNature誌からRetraction Watchのスタッフらによるニュース記事の内容を中心にご紹介いたします。 Publishing: The peer-re
この時間はなんだったのか。 先月イギリスのデイリー・メール紙は、126年の時を経てついに切り裂きジャック(ジャック・ザ・リッパー)の正体を突き止めたと報じました。切り裂きジャックの残したDNAから犯人特定にたどり着いたとされていましたが、実はとんでもない冤罪だったとのことのです。英インディペンデント紙の報道では、捜査を担当した科学者が、数の数え間違いなどを含むいくつものミスを犯していたとのことです。 DNAは被害者の1人が持っていたショールから得られたもので、それによると23歳のポーランド人の床屋アーロン・コスミンスキーさんが切り裂きジャックであったのではないかと、容疑者の1人として疑惑がもたれました。ショールを保有していたビジネスマンRussell Edwardsさんと、科学捜査官Jari Louhelainenさんは、コスミンスキーさんの子孫の1人に、とてもレアなDNA形状を発見したこ
去年の末頃にこんな論文が発表されました。 Occurrence of the Synthetic Analgesic Tramadol in an African Medicinal Plant De Waard, M. et al. ACIE 2013, 52, 11780 トラマドールという鎮痛作用のある合成医薬(μアゴニストのオピオイド鎮痛剤)がアフリカ、カメルーンの薬用植物から単離、構造決定された、という論文です。 トラマドール(Wikipedia) ↑Wikipediaに載ってるくらいに有名なのねコレ まあこれ出たときには「へー、アフリカまだまだいろんなのあるなー(ホジホジ」くらいにしか思ってなかったし、せいぜい『天然から採れたんだったらこれから権利とかなんだとかもめそう』だとか『合成品が天然から見つかったとかで自然派のみなさんどうすんですかね』だとかそういう性根の曲がったこ
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