最初に申し上げておきたいのは、この本がある種の気づきに満ちており、多くの人にとってはとても参考になるということだ。だが、同時にいくつかの深刻な問題を抱えていることも確かなので本稿を書くことにした。 私自身、この本および著者には敬意を抱いており、だからこそこの本と著者の目指す方向にそぐわない箇所を指摘すべきなのだと感じた。 だが、その一方で私は本書が壮大なネタ本である可能性も感じている。むしろそうであってほしいとすら思っている。 著者はよくチンパンジーを引き合いに出す。誤解や偏見で知識人がよく違える質問を取り上げ、正答率がチンパンジーよりも劣るのはなぜ?と問いかける。質問は3つの選択肢からひとつを選ぶ形式なので、ランダムに答えれば正答率は33.3%になる。バナナ1本ずつにA、B、Cのいずれかの文字を同数書き、問題を読み上げて、チンパンジーがどのバナナを選んだかという実験を行えば正答率は33.
出版業界は厳しい時代を迎え、特に当店のような町の小さな書店にそのしわ寄せが来ています。 20年前には全国に2万3000店の書店がありました。ところが現在、日本図書普及協会によると、図書カ-ドを読み取る図書カ-ドリ-ダ-を置いているお店、つまり配達だけでなく店舗を構えている書店は8800店になってしまったといいます。 本当にお薦めしたい本を入手できない そんな中で当店では、8年前からお客さまたちの意見を聞きながら、「作家と読者の集い」と題したトークイベントを始めました。大手メディアでは、報道されない、けれども伝えなければならないことを書かれた本を中心に、お客さまからのリクエストもお聞きして企画して参りました。 現在222回目になり、延べ1万人以上のお客様にお越しいただいています。お陰様で、最近は、作家さんやジャ-ナリストの方々から隆祥館のイベントに出演したいというリクエストも受けるようにもな
平林氏のnoteを読んで、思うところあったので。 彼のような発信力のある人がそんなこと言ったら、批判されるだけで何にもならないじゃん、という愚痴である。 著者が言うのは仕方ないかなとも思うけど、編集者の立場で言うのはナシだ。 まとめサイトとかで吹き上がれば外圧になる?ならないよ、版元の偉いさんの鈍感力舐めんなよ! 当方30代の現役編集者。 転職歴2回、過去に営業、雑誌編集、文芸編集経験あり。 直近は男性向けラノベ。数年やって、最近現場を離れた。メディア化、中ヒットくらいまでは経験がある。 いまやっていることまでは黙っておく。 電子化について電子売上を逐一見れないというのはウソである。いや、平林氏は見れなかったのが本当ならウソというと語弊があるが。 Amazonはじめ、情報は取ればいくらでも手に入る(買うことも多い)。自分は週ごとくらいには電子売上を見ていた。 ではなぜ売上が見れないなどと平
ソノラマ文庫と並び、ライトノベルレーベルの先駆けとして1976年に創刊されたコバルト文庫。 その命脈が尽きかけようとしていることをご存知だろうか。 http://cobalt.shueisha.co.jp 公式サイト(2016年に休刊となった雑誌Cobaltの代わりを務めるWebマガジンCobalt)の最新刊のところを見ていただくと「電子オリジナル」と書いてあると思う。 そのとおりコバルト文庫では、数ヶ月前から電子書籍のみで発売される作品がラインナップされるようになった。 そして、ついに今月は新刊が二作品とも電子オリジナルに――すなわち「紙の新刊がまったく発売されない」ことになってしまったのである。 電子書籍がそれなりに普及した昨今とはいえ、それに絞ったところで売上が上向くとは思えない。 消えゆくレーベルの末期のあがき…と言えば表現は悪いが、そのようなものと受け取らざるを得ないだろう。 コ
ネット通販大手のアマゾンジャパンは31日、出版社から書籍を直接購入し、販売する「買い切り」方式を年内にも試験的に始めると発表した。同社は同日の記者会見で、「書籍の返品率を下げるため」と説明し、本の価格設定についても検討する考えを示した。 同社によると、買い切る書籍について出版社と協議して決定。一定期間は出版社が設定した価格で販売するが、売れ残…
ライトノベルの市場規模は、文庫本、単行本をまとめて約300億円市場と言われている。2015年がピークであったものの、その市場で息づく作品たちは、いまもつぎつぎとコミカライズ、アニメ化、ゲーム化されている状況だ。 そんな一大市場の始まりを考えたとき、コバルト文庫やソノラマ文庫など、いくつも言及すべきところはあるが、1980年代半ばに角川書店が創刊したパソコン誌『コンプティーク』に掲載されていた『ロードス島戦記』が、いまに繋がるライトノベル史の源流のひとつであることは衆目の一致するところだろう。 以来30年の時が経ち、書店の棚に、Webサイトに居並んでいるライトノベルを俯瞰すれば、その中心にいるのはいまなおKADOKAWAであることがわかる。 この流れを作った人物がいる。 それがこの記事で聞き手となっている佐藤辰男氏だ。 佐藤辰男氏 氏の立ち上げた、あるいは手掛けたものを見るといい。パソコン誌
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています 12月25日に発売される早川書房のSF専門誌『SFマガジン』の2019年2月号で、女性同士の関係性を扱う創作ジャンル「百合」が特集される。同誌では2018年最大の部数を用意していたが予約が殺到し、発売前に早くも重版が決定。早川書房の公式サイトで注文殺到により「発送が遅れる場合がございます」と異例の告知を出している。 表紙イラストはシライシユウコさん 百合特集は、2018年に百合とSFがさまざまな形で接近したことを契機としたもの。収録しているのは、宮澤伊織さんや森田季節さん、草野原々さんといった作家による百合SFの短編小説。他も『コミック百合姫』編集長へのインタビュー(聞き手&構成:柴田勝家さん)や、「百合SFガイド2018」などさまざまな企画が組まれている。 「発送が遅れる場合がございます」と異例のアナウンスも 同誌の発売前重版は、
SFマガジン 2019年 02 月号 出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/12/25メディア: 雑誌この商品を含むブログを見る2018年の児童文学界の最大の事件は、劇場版『若おかみは小学生!』の大ヒットなどによって令丈ヒロ子が百合界に「発見」されたことでした。劇場版及びTVアニメ版の『若おかみは小学生!』は世界唯一の百合専門誌で3回も取り上げられ、「百合と異界は児童小説の伝統」をはじめとする令丈ヒロ子のtwitter上での発言も話題になり、年末刊行のS-Fマガジン百合特集号に令丈ヒロ子がエッセイを寄稿するというかたちでオチがつきました。 これは絶好の布教の機会なので、令丈百合児童文学の数々を紹介しようと思います。好きって、こわい? 作者: 越水利江子,小林深雪,藤木稟,宮下恵茉,令丈ヒロ子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2012/07/20メディア: 単行本 クリック: 3
みなさん、どうもこんにちは! シエルです もうそろそろ今年も終わりに近づいてきました。 となると、やることはただ一つ。 ランキングをつくるのみ! ってことで、今年発売されたライトノベルから、自分的に印象に残った作品をTop5で紹介していきたいと思います。 ちなみに、新作のみで絞っています。 ですが、続巻の作品はランキングにはいれていませんが、少しは紹介したいと思います。 高校に入学した日。野田進は桜の木から落ちてきた清楚系女子、宮村花恋と運命的な出会いをし、誰もが羨む高校生活を手に入れる。 だが進は、そんな普通の幸せに満足できなかった。 「あなたは、青春不感症なんです」 そこに、エキセントリックな孤高の天才児、西條理々が現れる。彼女の言葉で、進の日常は甘くきれいに溶けだした。 「私の足を舐めろ、です。大人の味を教えてあげます」 友人も、家族も断ち切って、世間から孤立する。進と理々だけの秘密
例えば火魔法取り扱い資格〇〇級とかあって、級ごとに使える上限値がきっちり決められてしまうだろう。 バレなきゃいいという考えがあったとしても火災報知器みたいなマジックアイテムなどの着用も義務付けられるんだろうよ。 そして魔法を使うことにも税金がかけられるに違いない。 魔法使用税とかそんなの。上級魔法なんかはきっとお高いのだろう。 政府がやらないわけがない!!! 魔法の暴発事件もあるだろう。 病気を患って、ボケた老人が発火するんだ ボケてるから魔法防止装置を外したりするんだきっと ああ。こうやって現実的に考えていくと 魔法がどんどんつまらなくなっていくな もう寝よう。
こちらは、過去5回における来場者数の推移です。運営事務局が把握している大まかな統計値がベースになっています。 第3回を除いて、大幅な増加率が続いています*1。技術書という特定ジャンルのイベントとしては、驚異的な成長率ではないでしょうか。実は主宰者自身も、立ち上げ当初はこんなに規模が大きくなるとは思いませんでした。 このことを踏まえ、本記事では、技術書典にまつわる実績を数字で振り返りつつ、イベントが成長していく軌跡を紹介します。四苦八苦してきた運営側の感想と共にお楽しみください。 技術書典が生まれた背景と、多くの人に受け入れられた理由 「技術書典5」入場待ちの列 技術書典が多くの人に受け入れられた背景には、いくつかのポイントがあったと考えています。その中から一つを挙げると、最新の技術情報が体系的に集まっているという点でしょう。 もともと技術書、特にIT関連書籍は変化が激しい分野です。一般的な
今日、十二月十二日「十二国記の日」に、嬉しいお知らせがあります。 新作の第一稿が届きました! 長年にわたりお待ちいただいた作品は、400字で約2500枚の大巨編になりました。 物語の舞台は戴国です――。 小野先生の作家生活30周年にあたる今年、このような大作を執筆いただいたことに感謝し、 待ち続けてくださった読者の皆様に御礼申し上げます。 これからお原稿の手直し、イラストの準備など本づくりが始まります。 よって、発売日はまだ決定しておりませんが、来年2019年に刊行されることは間違いありません。 第一報はこの公式サイトで発表するとお伝えしておりましたが、 奇しくも「十二国記の日」に、お届けできました。 今後とも詳しい情報を順次ご案内できるよう、邁進いたします。 引き続きご支援いただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。 2018年12月12日 「十二国記」スタッフ一同
慶応大が2017年2月に博士号を授与したメディア学者・ジャーナリストの渡辺真由子氏の博士論文について、学内に調査委員会を立ち上げたことがわかった。朝日新聞の取材に対し大学が明らかにした。 慶応義塾広報室によると、調査対象になっているのは、渡辺氏が16年度に提出した博士論文「児童ポルノ規制の新たな展開」。これをもとに出版された著書の絶版・回収が決まったとの報道を受けて調査委員会を立ち上げ、博士号を出した大学院政策・メディア研究科を中心に調査を始めたという。 「重大な無断転載」があったとして先月、絶版・回収が発表されたのは「『創作子どもポルノ』と子どもの人権」。マンガ、アニメ、ゲームなどで実在しない子どもを性的に描く表現に対する規制を考えるとする内容で、今年4月に出版された。 版元の勁草(けいそう)書房によると、本のほぼ1章分に相当する範囲で、別の著者の論文から許可なく引き写したとみられる表現
連載を取り消された漫画家の復活劇――『あいこのまーちゃん』が書店に並ぶ日:漫画家・やまもとありさ インタビュー(1/4 ページ) 「不健全図書」に該当する可能性を指摘され、連載中止となった漫画『あいこのまーちゃん』。同作の単行本化に向け、クラウドファンディングやニコニコ生放送、273時間の作画配信などさまざまなことにチャレンジしてきた漫画家・やまもとありさ先生とは一体どういう人物なのか。ロングインタビューでやまもと先生に迫った。 2014年6月27日、連載開始を2日後に控えたとある漫画が連載取り消しの宣告を受けた。漫画の内容が、東京都の定める「不健全図書」に該当するかもしれないと出版社が判断したのがその理由だ。 漫画のタイトルは『あいこのまーちゃん』。少し天然な中学生の「あいこ」が、初潮を機に言葉を話すようになった自身の女性器「まーちゃん」とともに、少女から大人へと成長していく姿を描いた作
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