村田 真 .. 「多面体・岡本太郎」の一面的な絵画 .. 「多面体・岡本太郎展」カタログ表紙 時ならぬ岡本太郎ブームである。没後3年たつというのに、著作集や関連本の刊行が引きも切らず続き、『芸術新潮』『ユリイカ』などの雑誌が岡本太郎を特集し、「IZUMIWAKUプロジェクト96」「モルフェ98」「日本ゼロ年」といった若手作家や評論家の企画した展覧会にその作品が出品される、といったように。だが、岡本太郎ブームは死後いきなり始まったわけではない。生前からブームと呼べるような盛り上がりが何度かあった。 最初は、1948年に花田清輝らとともに「夜の会」を結成し、「アヴァンギャルド」を標榜したころに始まる。このころ太郎は、「重工業」「森の掟」などのエポックメイキングな作品を二科展で発表している。また50年代に入ると、『アヴァンギャルド芸術』『今日の芸術』といった重要な著作を出版したり、アンフォルメル