前編記事【「自由論」J. S. ミルも「うつ」だった…「神童」と呼ばれた思想家が父から受けた「過酷なスパルタ教育」】」では思想家ミルの幼少期から青年期にかけての出来事を消化した。この後編記事でも引き続き解説していく。 『自由論』『功利主義』で知られるJ. S. ミルとは何者だったのか。教科書に必ず出てくる思想家だが、何がすごいのか。 実はその生涯は波瀾万丈、思想の中身は150年後のSNS時代でも古びない鮮烈なものだった――! 没後150年にあわせて刊行された中公新書の評伝『J・S・ミル――自由を探究した思想家』の著者であり、岩波文庫版『自由論』『功利主義』の翻訳者でもある政治哲学者の関口正司氏が解説する。 ※本記事は関口正司『J・S・ミル――自由を探究した思想家』から抜粋・編集したものです。 『自由論』の執筆と伴侶ハリエットの死 ミルの代表作である『自由論』だが、それを書き上げる作業は、目