<ブラックホールに投入したエネルギーが増幅されて戻ってくる、その連鎖反応を利用した爆弾と、それを利用した発電の基礎となる物理現象を裏付ける研究が発表された> 回転するブラックホールは、周囲の時間と空間を引きずりこむほどの巨大な自然の力だ。ブラックホールをなんらかのエネルギー源として利用できないかと考えるのは当然だろう。数理物理学者のロジャー・ペンローズは1969年、まさにそのための方法として、のちに「ペンローズ過程」と呼ばれるようになる理論を提唱した。 高度に進んだ文明(異星人や未来の人類)なら、この手法を利用して、「ブラックホール爆弾」を製造してエネルギーを得られるかもしれない。だが、そのために必要な物理現象のいくつかは、一度も実験で実証されたことはなかった──いままでは。この手法の基礎となる物理現象を裏づける我々の研究が、先ごろ「ネイチャー・フィジックス」誌に発表された。 ブラックホー