「つまりさ、大杉栄ってのは……叶えられなかった夢なんだ。大杉の革命は、決してこの世では実現しなかった。だからこそ美しく見えるし、いつだって、そう、よみがえってくる。幽霊としてね」 そういうわけで、やっと今頃になって中森明夫『アナーキー・イン・ザ・JP』(isbn:4103046325)読了。こいつは速攻読まねばと思いつつ、本屋ではしばらく品切れだった。 パンクに憧れる現代の少年と、どういうわけか幽霊として現代に復活した、大正の「ナンバーワン・アナーキスト」大杉栄の言行を描いた思弁小説である(←帯には青春小説と書かれているが、そこは微妙な違和感)。 俺みたいな人間にはもの凄く面白かったのだが、なんというかツッコミ所も満載。序盤から三分の一ぐらいまでは、中森明夫ともあろう人が、言いづらいが、オジサンが今の若者に合わせたつもりでいまいち色々滑ってないかという印象。 まず、現代に復活した大杉栄につ