肺炎を繰り返して衰弱した高齢者や肺炎を併発した終末期のがん患者などについて、日本呼吸器学会は、今月改訂する成人肺炎診療ガイドライン(指針)で、抗菌薬の使用などの積極的な治療を控え、苦しみを和らげるケアへ移行することも選択肢とする。肺炎は日本人の死因の3位で影響は大きそうだ。 国の統計では、2015年に肺炎で亡くなった人は12万人。その97%が65歳以上の高齢者だ。 同学会の新たな指針では、患者が治療でわずかに延命できるとしても、苦痛などで充実した時間を過ごせないと複数の医師が判断した場合、人工呼吸器や抗菌薬などによる治療以外に、緩和ケアも選択肢として患者に示す。意思が確認できない場合は、家族が推定する意思を尊重し、医療チームで方針を決める。 診療指針作成委員会委員長の長崎大学副学長、河野茂さんによると、のみ込む力が弱り、気道に細菌が入って起こる高齢者の誤嚥(ごえん)性肺炎は、抗菌薬の