「会社といつでも連絡が取れるよう、携帯電話の電源は常に入っているか」――。イエスと答える社員が多い会社は、従業員を疲弊させ、企業業績がいずれ悪化すると指摘する論文が話題になっている。 月刊誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」(日本版)2010年12月号に掲載された「社員を追い詰める『加速の罠』」。スイスの経営学者らが会社のリスク回避のために、社員に「休息期間」を取得させる必要性を説く。 「早い退社に罪悪感」そんな職場は危ない 論文によれば、企業は市場からの強い圧力を受けると、事業の数を増やしたり、業績目標を高くしたりしながら、ビジネスの「スピード」を上げて、実力不相応なことに挑戦する傾向があるという。 これにより、業績は一時的に向上するが、行き過ぎた「スピード重視の文化」を継続的に進めていると、やがて従業員のエネルギーを消耗させ、やる気を奪い、ひいては企業業績の悪化を招いてしまうというわけ