Published 2023/10/11 22:26 (JST) Updated 2023/10/11 22:41 (JST) 新たな伝説が始まった。11日、将棋の第71期王座戦5番勝負で藤井聡太七冠が永瀬拓矢王座を破り、初の全八冠を独占。最後の駒を置いた指先には力がこもっていた。出場した18度のタイトル戦を全て制し、若き第一人者の「不敗神話」は続いていく。 午後8時59分。「負けました」。永瀬前王座が頭を下げると、藤井八冠も丁寧にお辞儀を返した。終局後、大勢の報道陣がなだれ込み、感想を聞かれると、「(今シリーズは)どれも難しい将棋で実力不足を感じた。この経験を糧にしたい」と喜びをにじませた。 王手をかけて臨んだ京都市内のホテルでの第4局。白っぽい和服を身にまとった。対局前のお決まりとなっているお茶を一口含んで気合を高め、次第に“勝負師の顔”になっていった。静寂に包まれた対局室。午前9時、