【本記事(2017年4月19日公開)は特別無料公開中です。プレミアム会員にご登録いただくとJBpressのほぼすべての過去記事をお読みいただけます。ぜひご登録ください。】 「米国が朝鮮半島の危険な情勢に関与する必要はもうない。韓国との同盟を解消して、在韓米軍も撤退すべきだ」――こんな過激な主張の論文が米国の大手外交雑誌に掲載された。ソ連の巨大な脅威が存在した東西冷戦時代ならば米国の朝鮮半島関与は意味があったが、今は北朝鮮の脅威は韓国に任せればよい、とする孤立主義に近い主張である。 論文の筆者は長年ワシントンの外交政策論壇で活動する研究者だ。その主張はきわめて少数派と言えるが、米国の一部にこうした意見が存在することは認識しておく必要があるだろう。 中国の存在のほうが大きな問題 米国の大手外交雑誌「フォーリン・ポリシー」4月号は「アメリカはもう韓国を解き放つ時だ」と題する論文を掲載した。筆者は
<平和条約が締結されれば米軍は不要、ただし中国の封じ込めには必要――撤退の困難さを裏付ける40年前の教訓とは> さしものドナルド・トランプ米大統領も、2月の時点で気付いたようだ。在韓米軍を撤退させるのは口で言うほど簡単なことではないのだ、と。 米NBCニュースによれば、2月の平昌五輪前に在韓米軍の撤退を考えていたトランプを、ジョン・ケリー大統領首席補佐官が強く説得して思いとどまらせたという。 それから急展開を見せている朝鮮半島情勢を、トランプは楽しんでいるかもしれない。何しろ韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に、ノーベル平和賞にふさわしいとまで持ち上げられたのだから。 しかし今後の朝鮮半島情勢がどれだけ好転しようとも、韓国から米軍が撤退できるかどうかを考えると、その道のりはあまりに遠い。 4月27日に文在寅と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の間で行われた南北首脳会談は、
イラン革命によって国を追われるパーレビ国王夫妻(79年1月16日) PUBLIC DOMAIN/WIKIMEDIA COMMONS <革命から39年、王政時代に憧れる若者たち。その裏に亡命者の思惑と巧妙なメディア戦略が> 「革命を起こしたのは間違いだ!」「レザ・パーレビ!」 パーレビ王朝を打倒した1979年のイラン革命から今年1月で39年。昨年12月28日に発生しイラン各地に飛び火した反政府デモで、参加者の一部からは故モハマド・レザ・パーレビ元国王の長男の名前を叫ぶ声が上がった。 レザ・パーレビ元皇太子は57歳の今も亡命先のアメリカで暮らしており、今さら王座に返り咲くとは思えない。一方、イランのデモ参加者の大部分は20代以下――つまり自分が知らない王朝の復活を要求しているわけだ。彼らの真剣さを疑うわけではないが、政治的見解については説明が必要だろう。なぜいま若者たちはパーレビ王朝復活を求め
歌手のピコ太郎(右)まで動員してトランプを歓待した日本政府 PIKOTARO/AVEX MANAGEMENT INC/ REUTERS <トランプと安倍の蜜月、その向こうにそびえる習近平の大きな影。アメリカの対中政策は転機を迎えた。習の言う「新しい世界」でアメリカはどう振る舞うべきか。これはそれをテストする旅だ> (ドナルド・トランプ米大統領は11月3日より、12日間のアジア歴訪中だ。日本に始まり、韓国、中国、ベトナム、フィリピンの5カ国を訪問する。途中、ロシアのプーチン大統領とも会談する予定だ。アジア・ソサエティーの米中関係センター所長で米オンライン誌「チャイナファイル」の発行人を務めるオービル・シェルは、この旅を同行取材することになった。この記事は、旅の途中でシェルがシリーズで寄稿した記事の第1回) 今回のアジア歴訪で多くの人が恐れているのは、中国の習近平国家主席が、いつものように過剰
いつまでトランプに従うのか(左はマイク・ペンス副大統領、右はポール・ライアン下院議長) Jim Lo Scalzo-REUTERS <司法妨害の証拠は出そろった。この一週間でトランプが自ら開陳してくれた。それでも、議会多数派の共和党が動かない限り、弾劾手続きは始らない> ドナルド・トランプ米大統領について書くのは大変だ。毎日のように問題を起こすので、追いつかない。最近はとくに極端だ。 ワシントン・ポスト紙は5月15日夜、トランプがホワイトハウスでロシア外相とロシア大使に国家の最高機密を漏洩した、とスクープした。翌16日には、ロシアとの関係について嘘をついたとして就任後すぐに大統領補佐官(安全保障担当)を辞任したマイケル・フリンに関し、トランプがFBIに捜査中止を要請したことも明らかになった。「いい人間なんだ」と、トランプは言ったという。 【参考記事】トランプ、最高機密をロシア外相らに話して
先月末に就任100日を迎えたトランプ大統領だが外交政策の舵取りはいまだに素人レベル Jonathan Ernst-REUTERS <強気の発言はどこへやら、右往左往する素人集団のトランプ政権。一貫性を欠く政策に同盟国の信頼は揺らぐ一方だ> ドナルド・トランプ米大統領がフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領をホワイトハウスに招待した。ドゥテルテといえば、麻薬戦争で殺人も辞さず、「犯罪者」を自分の手で殺したと豪語するなど、人権侵害が問題視されている人物だ。 それでもアメリカの重要な同盟国の指導者には違いない。トランプは(歴代の米大統領と同様)倫理的な懸念よりも戦略的インセンティブを優先し、アジア・太平洋という極めて重要な地域で現実的な政策を推進しているにすぎない――。そうした見方もあるかもしれない。なるほど、表面的には現実政治の典型に見えなくもない。 しかしそうした見方は現実とは懸け離れている
<南シナ海の領有権を守るために実力行使をすれば、中国は戦争をも辞さず、米中の軍事衝突が現実のものになる──その恐れは、アメリカがこれまで中国の拡張主義を抑止するのを失敗してきた一因だ。戦争以外にも抑止方法はある。今のまま何もしないほうがはるかに危険だ> 石油大手エクソンモービル前会長のレックス・ティラーソンが2月1日、アメリカの新しい国務長官に就任した。彼の言動はドナルド・トランプ大統領ほど世界中に波紋を広げるものではないかもしれない。しかし、1月11日に行われた上院外交委員会の指名承認公聴会でティラーソンは次のように証言し、中国の動向を見守る人々に衝撃を与えた。「米国は中国に対し人工島建設の中止を求め、人工島へのアクセスも認められないという明確なシグナルを送る必要がある」 このティラーソンの発言は、すぐさま中国のタカ派や西側世界の穏健派が反応した。中国共産党中央委員会の国際版機関紙「環球
トランプが指名したフリン(写真)は辞めただけでなく、政権内に大混乱を残していった Carlos Barria-REUTERS <トランプは、フリン国家安全保障担当補佐官を失っただけではない。管理能力ゼロと言われたフリンが政権内に残した高官内の分断や人手不足で、ロシアに威嚇されても応答もできない混乱を来している> 2月14日、ロシアが、開発したばかりの巡航ミサイルを実戦配備したと報じられた。マイケル・フリン国家安全保障担当補佐官を辞任に追い込んだスキャンダルにホワイトハウスが揺れるなかで起きたこの動きは、重要な軍縮条約に違反する可能性があり、ロシアとより良い関係を築くと公言していたトランプ政権にとって痛手となりそうだ。 今回のミサイル配備と、ホワイトハウスがそれに即座に反応できなかった事実は、新政権は人員不足のうえに難問山積で、安全保障上の脅威に対処する備えができていないことを示している。
戦闘激化で焼け出されたウクライナ東部アフデエフカの人々。凍った魚の配給を受けている Gleb Garanich-REUTERS <ウクライナ東部で2年半ぶりに戦闘が激化している。トランプ政権を試すために、ロシアが親ロシア派を煽っている可能性もある。アメリカが見放せば、親欧派の政権はもたない。NATOやEUは今、トランプの出方に警戒を強めている> ウクライナ東部で週明けから親ロシア派とウクライナ政府軍の戦闘が激化している。2014年9月のミンスク合意による停戦で「凍結された紛争」が再燃し、ドナルド・トランプ米大統領率いる新政権のロシアに対する戦略と力量が初めて本格的に試されている。 ロシアの支援を受けた親ロ派が1月29日の日曜日、ウクライナ政府軍が支配するドネツク州の工業都市アフデエフカに攻勢をかけ、周辺地域で一気に衝突がエスカレートした。政府軍の兵士十数人が死亡した模様だ。前日の土曜には、
<米情報機関が先週末に公開したロシアハッキングについての報告書は、プーチンがクリントンに対する執念深い恨みから米大統領選挙に介入したと断定する。そしてこの手法は、今年重要な選挙を迎えるドイツやフランスにも既に及んでいる> ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、アメリカの民主主義プロセスの信用を傷つけ、ドナルド・トランプ次期大統領を当選させる目的で、米大統領選に影響を与えるよう指示した――先週金曜に公開された機密情報を除いた調査報告書は、そう結論付けた。 報告書は中央情報局(CIA)と連邦捜査局(FBI)と国家安全保障局(NSA)が作成した。ロシアが前例のない選挙介入に及びアメリカの政治団体のコンピューターシステムを標的にして、サイバー攻撃で盗んだ情報を流出させたと断定するなど、これまでで最も詳細な分析結果を含む内容だ。ハッキングや偽情報の流布、ネットでの匿名の誹謗中傷(トロール)など、ロ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く