北朝鮮問題に米中貿易紛争……最近の北東アジアは事態の変化が目まぐるしくて、日本は舞台に上がれずに観客の立場を余儀なくされている気がする。 しかし、苦労しているのは日本だけではない。中国の習近平氏も緊張を強いられているはずだ。以下では習近平、中国から見た目下の国際情勢、とくに北朝鮮問題について論じたい。 なぜ習近平の北朝鮮政策は「逆戻り」したのか 筆者は中国の北朝鮮政策について、過去に以下のような仮説を置いてきた(注1 )。 1)過去中国の北朝鮮政策は、朝鮮戦争の戦死者にまつわるタブーに縛られて、北朝鮮に厳しい態度を採れなかった。 2)習近平は「北朝鮮の核・ミサイル開発は中国にとっても脅威である」という判断の下、制裁の厳格実施、米国との協力などで伝統的な北朝鮮政策の軌道を修正した。 3)中国のこの方針変更は北朝鮮や韓国の危機感を高めて両国の態度変更を呼び起こした。 しかし、今年初めの金正恩の