日米貿易戦争の原点 サイドレターを追って(上) 米国は1987年、戦後初の本格的な対日経済制裁に踏み切る。それを招いた半導体貿易での日米両政府の秘密書簡、サイドレターとは何だったのか。「貿易戦争」や「保護主義」が喧(かまびす)しい今日、そこから何を教訓とすべきなのか。当時のキーパーソンらを訪ね歩くうちに輪郭が見えてきた。(上)に続いて報告する。 数値に言及することの危うさ こうして生まれ、しかも伏せられたサイドレターがその後の日米関係に与えた影響を鑑みる時、そこに様々な教訓があるように思える。米国は今も世界一の経済大国でありながら、貿易赤字は相手国のせいだと経済制裁を振りかざす大統領を選んだ。そんな現代に半導体問題の教訓は一層重みを増すのではないか。 京都御所そばの同志社大学に、大矢根聡教授(57)を訪ねた。国際関係論が専門の大矢根氏は、日米半導体摩擦がようやく落ち着いた90年代後半から日