統一戦線部からの指令「文鮮明に接触しろ」 これまでさまざまなメディアが報じているように、文氏は北朝鮮北西部の平安北道(ピョンアンブクト)で生まれた。日本への留学などを経て1954年に「世界基督教統一神霊協会」いわゆる「統一教会」を設立した。 一方、冷戦下で「主体(チュチェ)思想」を根幹とする独裁体制を築きつつあった金日成は、1980年代中盤ごろから、新たな外交戦略を打ち出していた。前出の関係者がその中身をこう説明する。 「朝鮮同胞は国籍にかかわらず、全て『包摂』するという戦略です。世界中で北朝鮮への支持者や協賛者を広げ、抱き込もうという政策で、おもに北朝鮮の出身者が工作の標的となりました。工作を主導したのは、対韓工作を担当する統一戦線部。韓国有数の財閥『現代(ヒュンダイ)』グループの創始者らもターゲットでした。その最初期に狙われた中に、統一教会を急拡大させていた文鮮明もいたわけです」