2014年11月の日中首脳会談における「4点の認識共有」の存在にもかかわらず、中国の軍事的台頭とその海洋における高圧的な対外姿勢は相変わらず日米および地域の安全にとって深刻な挑戦であり続けている。 中国の国防予算は毎年のように前年度比2桁という高い水準の伸び率を示し続けているが、米国の国防予算は削減圧力の結果、今後も長期にわたって横ばい傾向となることが予測されている。日本にしても財政難の影響で、たとえ安倍政権の下でも防衛関係費の大幅増額を許容する状況ではないことは自明である。 つまり、日米はやがて物量面で中国の軍事的・政治的・心理的な圧力に対抗できなくなる恐れが否定できない。事実、こうした優位を背景に、中国は海洋における高圧的姿勢を強めている。2013年11月の東シナ海における防空識別圏(ADIZ)設定は記憶に新しいし、南シナ海でもスプラトリー諸島をはじめ実効支配する島嶼や暗礁で埋め立て作