狙撃現場を調べる捜査員 ©共同通信社 江川 中村の取り調べは、ずっと原さんが担当されたんですね。どんな様子でしたか。 原 開口一番「長官狙撃事件についての関与は、肯定も否定もしない」と言いました。当初一貫して供述したのは、「長官を狙撃するには、(1)私邸の住所を知り得た。(2)現場に落ちていた朝鮮人民軍のバッジを入手できた。(3)高度の射撃技量がある。(4)犯行に使われた拳銃パイソンと、357マグナム・ナイクラッド・ホローポイント弾という特殊な弾丸を入手できた。この4つの希少条件を充たせなければ犯人になり得ないでしょう」と。評論家的な物言いでした。 江川 その4つの条件は、のちに中村本人の供述と原さんたちの捜査によって裏付けられましたね。(1)霞が関の警察庁庁舎に忍び込んで、警備局長室にあった幹部名簿を盗み見た。(2)大阪でKCIA(韓国安全企画部)職員に現金を渡して入手した。(3)アメリ