『大動脈解離』という病気を聞いたことがあるでしょうか。昨年も芸能人の方がこの病に倒れたニュースがありました。その方は、急死に一生を得ましたが、もし発症した場合、約20%は病院に搬送する前に死亡するというデータもあります。解離する部位やタイプによっても予後は異なりますが、たいへん恐ろしい病気です。 A 大動脈は、心臓の左心室(血液を全身に送り出す部屋)からつながっている血管で、身体のほぼ中心~後側を胸~腹部まで走っています。直径は2~3㎝程度で人の身体の中で最も太い血管です。また、その壁は3層になっており、血液に触れる部分から内膜、中膜、外膜と呼びます。厚さは2~3㎜ほどです。 『解離』はこの内膜がなんらかの原因で傷つくことによって血液が膜の間に流れ込んでいき、内膜と外膜との隙間に血液が溜まる状態をいいます。大動脈の膜が“裂ける”という表現がイメージしやすいかもしれません。もし、外膜まで破れ