現代では昆虫図鑑や動物図鑑といったメジャーなものから超ニッチなまで、様々な百科事典が売られていますが、江戸時代にもさまざまな百科事典が刊行されていました。 寛文6年には、当時本草学者だった中村惕斎(なかむらてきさい)が、「訓蒙図彙(きんもうずい)」という図入りの百科事典が刊行され、この百科事典は最終的に21巻にもなりました。 その後、この訓蒙図彙に続くようにさまざまな百科事典が刊行されましたが、今回紹介するのは、同様に訓蒙図彙の刊行後に登場した「武具訓蒙図彙(ぶぐきんもうずい)」という江戸時代の図鑑です。 「武具訓蒙図彙」は貞享元年(1684年)に刊行された5巻からなる図鑑で、著者は和算家の湯浅得之。湯浅得之は江戸時代の数学者・村松茂清に師事していた人物です。 内容は、甲冑や兜などの武具を図入りで解説した図鑑になっています。絵のクオリティに関しては、当時の絵師たちが描くそれらに比べ劣りはす