「幻の『長くつ下のピッピ』」(岩波書店)という本が8日、発売される。スタジオジブリの設立に参加した高畑勲さん、宮崎駿(はやお)さんらが40年以上前に児童文学の名作をアニメ化しようとして断念した際のスケッチ画などをまとめたものだ。当時の資料には、子ども本来の自由な姿を世に伝えたい、という思いがあふれている。 「子どもたちの日常が生き生きと描かれている」。「幻のピッピ」のために行われたインタビューで、高畑さんは原作の「長くつ下のピッピ」をこう評価している。赤い髪のおさげに長い靴下がトレードマークのピッピが、隣人らを巻き込みながら様々な騒動を起こす物語だ。 スウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの作品。日本では1964年以降、複数社が出版、岩波版だけで累計94万部にのぼる。 71年にアニメ化を提案された高畑さんは、アニメーターの宮崎さん、小田部羊一さんを誘い、会社を移って取り組ん