夫がB級2組に昇級した。 3月は将棋界の区切りの月で、A級からC級2組までに分かれた順位戦はどのクラスも最終局を迎えた。 昇級や降級が決まるこの時期は対局室の空気も、他の月より少し重たく感じる。以前のコラムでも少し触れたが、棋士にとって順位戦は、やはり特別なものなのだ。 将棋指しは、なぜだかすぐに徳を積みたがる 夫は最終局の1局前を7勝1敗で迎えた。 この1局に勝てば、最終局を待たずに昇級を決められる。その1局次第で、1年かけて戦ってきた順位戦の行方がかわるかもしれない、プレッシャーがかかる1局だった。 C級2組に在籍していた時に、昇級候補と名をあげられることも多かったが、なかなかそのチャンスをつかみきることができなかった。その頃は順位戦が近づいてくると、家の中の空気がピリピリしていた。空気から、緊張やプレッシャーが伝わってくるのだ。 結果として、夫は苦しみながら、10年以上をかけてC級1