ルドヴィコ・カラッチ「イエス・キリストに『死の接吻』を捧げるイスカリオテのユダ」ウィキメディア・コモンズより。 (ヴィクトル・ユーゴーに捧ぐ) 人・人・人の大都会 怪奇に満ちたこの世界 真っ昼間から 妖怪が通行人を呼び止める 謎は 巨人の体内にくまなく網をめぐらした 狭い経路を通過して 樹液のごとく駆けめぐる それは明け方 悲しげな道を歩けば 両側に 狭霧によって身長を引き伸ばされた家並みが 増水中の濁流の両岸壁のごとく見え あたり一面ぼんやりと 暗く黄色い霧が込め それは舞台の俳優の気分通りの設定で 俺はあたかも主役のごとく 神経をとがらせながら 朝っぱらから くたくたの自分自身と議論しながら 大型の荷馬車が揺らす場末の道をたどっていった ふと現れたお年寄り どんよりと曇った空と 同じ黄ばんだ色をした襤褸(ぼろ)をまとって 冷酷が 目に輝いていなければ 施し物をたんまりと もらえていたに

