岸田文雄首相は26日、過去2年分の税収増加分を還元するため、与党に所得減税の具体化に向けた制度設計を指示した。所得税減税は歴代政権の景気対策として実施・検討されてきたが減税策の対応次第で、政権が倒れるきっかけをつくったこともあり、リスクがつきまとう政策とも言える。 【図でわかる】現在、岸田政権が検討中の減税・給付金の一覧表 橋本龍太郎首相(当時)が景気回復のために「特別減税」を指示したのは1998年。今回と同様、所得にかかわらず一定額を差し引く「定額減税」方式で、規模は4兆円。所得税と住民税を98年に2回減税した。合計の減税額は納税者本人が5・5万円で、扶養親族はその半分だった。 しかし、景気は好転せず、橋本首相は追加の対策として「恒久的な減税」に触れたものの、その後、方針を撤回するなど迷走。有権者の不信感が高まり、自民党は同年7月の参院選で惨敗。総辞職に追い込まれた。 橋本政権の後を継い