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ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/column (17)

  • 嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月30日号掲載〕 6月30日、私は最近話題になっている嫌韓デモに行ってみた。このデモは東京の新大久保で何年も前から、毎週日曜日に行われているものだ。私は不安を胸に家を出た。自分の身も心配だったが、新大久保の人々のことも、日の対外イメージのことも心配だった。 実は新大久保はサンフランシスコのチャイナタウンやパリの日人街と同じような「観光スポット」だ。外国人にとって、新大久保のコリアンタウンを歩くことは伊勢丹新宿店の地階と同じくらい楽しさと驚きに満ちている。伊勢丹が日がいかに洗練されているかを示しているとすれば、新大久保の街が示しているのは日が外国人に対してフレンドリーで開かれた国であり、他国の文化が生き生きと存在できる国だということだ。 だがデモのせいで、新大久保は日が外国人にとっていかに不快な国になり得るかを象徴する場所となった。嫌韓デモ

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    Gln 2017/01/12
  • このまま原発を止め続けると30兆円以上が失われる

    九州電力の川内原発(鹿児島県)の再稼動に地元が同意したが、年度内の運転開始は困難だ。関係者は「夏までには何とか」といっているので、2013年7月の安全審査申請からほぼ2年かかる見通しだ。 当初、原子力規制委員会の田中俊一委員長は安全審査に「一つの発電所で半年」といっていたが、2基で2年かかるとなると、48基の原発の審査をすべて終えるのには48年かかる。今後の審査は加速するとしても、発電所を建設するときと同じ膨大な審査(文書だけで3万6000点)をやり直しているので、1年以下にはならない。そのうち30基を動かすだけでも、20年以上かかることは必至だ。 それによって、どれぐらいの損失が出るだろうか。原発停止でこれまで3年半で増加したLNG(液化天然ガス)の輸入額は、12.7兆円である。これを「円安のせいだ」という人がいるが、輸入量も倍増した。価格をドルベースでみても、図のようにLNGの価格はピ

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    Gln 2015/01/29
  • 「忘れられる権利」の行使にグーグルがしっぺ返し

    ヨーロッパで下されたグーグルに対する「忘れられる権利」判決。これを巡って、予想した通りの混乱と同時に面白い事態が起こっているようだ。 周知のように「忘れられる権利」は、グーグルの検索結果に表示される報道の内容を適切でない、すでに無効、あるいは大袈裟であるといった理由で、表示されないようリンク削除を求める権利のこと。 もともとスペインの男性が起こした訴訟に対して、さる5月にEUの司法裁判所が判決で認めたのが最初だ。この男性は、1998年に地元新聞でローンの滞納によって自宅が差し押さえになった件が報じられたが、それが支払いを済ませた今も検索結果に表示されるのを不服とし、個人として自律的な生活を営むことが阻害されていると訴えていた。 この判決が下ってから、グーグルには7万件の削除要請が寄せられているという。そして、グーグルはごく最近になって削除作業を開始したようだ。しかし、この判決が起こす混乱は

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    Gln 2014/07/08
  • 日本の学校教育に足りないのは万年筆だ

    今週のコラムニスト:スティーブン・ウォルシュ [3月25日号掲載] 娘が小学校を卒業するお祝いに、万年筆を贈ることにした──友人からある日、そう聞かされた。なんて素晴らしい選択だろう。彼女の娘の将来の夢は、総理大臣になること。世界の指導者は条約に署名するのにボールペンやシャープペンシルを使ったりしない。早くから練習しておくに越したことはないではないか! とはいえ友人いわく、万年筆はいつでも使えるわけではない。彼女の娘も、授業や宿題に使えるのはシャープペンシルだけだ。なんてもったいない。万年筆を教育現場に取り入れれば、産業界が直面する革新性の行き詰まりから出生率の低下まで、日の差し迫った社会問題の解決につながるかもしれないのに。 私はよく、初めて日に来たときの最大のカルチャーショックは何だったかと聞かれる。べ物?お辞儀? を脱ぐこと? いや、実は10代後半の若者が授業で鉛筆を使ってい

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    Gln 2014/03/31
  • テロリストを英雄に仕立てる韓国の幼児的ナショナリズム

    安重根という名前を知っている日人はほとんどいないと思うが、韓国では「抗日闘争の英雄」である。といっても彼は建設的な事業をしたわけではなく、1909年に日の初代韓国統監だった伊藤博文を暗殺したテロリストである。 ところが韓国の朴槿恵大統領は、彼が伊藤を暗殺した中国のハルビン駅に記念碑を建設することを中国側に提案し、それが「順調に進んでいる」と表明した。テロリストを英雄として賞賛することも先進国では考えられないが、暗殺事件から100年以上たって記念碑を建てようと他国に提案する大統領も普通ではない。 この一つの原因は、韓国があおっている反日感情の歴史的根拠がないことにある。韓国は1910年の日韓併合から終戦までの時期を「日帝36年」として批判しているが、その時期に日の朝鮮総督府が韓国人を虐待した記録はほとんどない。一時は「強制連行」や「従軍慰安婦」などを持ち出したが、それも事実と異なると判

  • 「心債」

    中国のネットに重苦しい雰囲気が広がっている。特に「発言する人たち」は今年国家主席になったばかりの習近平がぶちあげた「チャイナドリーム」とやらがいったいどんなものなのか見定めようとしてきただけに、今はなんともいえない煮えたぎるような怒りに身を任せつつ、それを吹き出させる方向を探しているようにも見える。 7月20日夕刻に北京国際空港第三ターミナルの到着ロビーで起こった手製爆弾事件。ちょうど夏休み、そして週末の夕刻ということで、空港に出迎えにやってきていた人も多かったのではないか。爆弾を作って持ち込んだ男の挙動はそれを引火させる前からそんな人たちの目を捉えており、引火と同時に写真や情報が中国国産マイクロブログ「微博」に飛び交った。 そして、その前に彼が配っていたというビラから、事件発生わずか30分もたたないうちにその身元が山東省に暮らす冀中星だと明らかになった。その速さには驚いたが、首都空港とい

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    Gln 2013/07/31
  • グーグルリーダー廃止でわかったクラウド利用の危うさ

    人気のあったRSSリーダー「グーグルリーダー」が廃止になると発表されて数日後、グーグルが今度は「キープ」というメモやアイデアをクラウド上に書き留めておけるサービスを開始した。 「さすがグーグル、次々と新しい製品を開発し、新陳代謝もいい」といつものように賞賛したいところだが、ここへきて世の中の反応がちょっと変わってきている。 その理由は、グーグルリーダーを深く使い込んでいる人たちがたくさんいたことだ。重要なニュースを一カ所に集めて目を通せるグーグルリーダーを、日々の情報収集の手段に使っていた人はたくさんいた。グーグル側は廃止する理由を「ユーザーが減ってきたから」「限られたプロジェクトに集中したいから」としているが、グーグルリーダーは人気があった。それなのになぜ終わらせてしまうのか、という疑問が1つ。 もう1つは、グーグルのサービスに頼っていると、これからもたびたびこんな目にあうことになるのか

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    Gln 2013/03/26
  • 日本の会社はなぜ「ブラック企業」になるのか

    このごろ「ブラック企業」がよく話題になる。私の運営するウェブサイト、「アゴラ」でも、今週はブラック企業についての記事が多くのアクセスを集めている。ブラック企業とは、かつては暴力団の企業舎弟などをさす言葉だったが、最近は社員を酷使して自殺に追いやったり過労死させたりする企業のことだ。 ブラック企業が話題になったきっかけは、居酒屋チェーン「ワタミ」の女性社員が自殺した事件だろう。昨年、この事件が労災に認定されたとき、ワタミの渡辺美樹社長が「労災認定の件、大変残念です。労務管理できていなかったとの認識は、ありません」とツイッターでコメントして「炎上」した。彼女は早朝5時までの勤務が1週間続き、残業は月140時間に達していたという。 このようにブラック企業に勤務する人は、会社よりも自分を責めて精神的に追い込まれる傾向が強いという。ワタミの事件でも、自殺するぐらいなら会社を辞めればいいのに、と思うが

    日本の会社はなぜ「ブラック企業」になるのか
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    Gln 2013/03/06
  • スマホが人間をダメにする

    インターネット時代、スマートフォン時代になって、我々はいつの間にか、以前にはなかったような無礼ではしたない振る舞いをするようになった。 その1つがいわゆる「ショールーミング」、小売店をショールームのように利用することだ。店では商品を見るだけで、実際の購入は自宅のパソコンなどからショッピングサイトにアクセスして行う。 もちろん、これは今に始まったことではないのだが、問題はそのやりかたが昨今どんどん露骨になってきたということだ。 アマゾン・ドットコムがインターネットでを売り始めた当初から、の中身は店頭の立ち読みで確かめ、注文は家に帰ってアマゾンでする、という人はいた。だがその頃は、「屋さんに悪いな」という気持ちが少しは働いていた。それでもアマゾンで買ったのは、安いアマゾン価格を前にして背に腹は代えられなかったからだ。 ところが今は、この「クリック購入」を屋の中でもスマホを使ってやるよう

  • 日本人がまだ知らない最強メディア「微博」の衝撃

    今週のコラムニスト:李小牧 〔1月16日号掲載〕 李小牧に19番目の「孩子(子供)」が生まれた! もちろん冗談だ。恋多き歌舞伎町案内人だが、実際の子供は男の子3人だけ。このたび生まれた子供とは、日中で19冊目となる新著『中国を変えた最強メディア 微博(ウェイボー)の衝撃』(阪急コミュニケーションズ)のことだ。 1年以上かけて在日中国人ジャーナリストの蔡成平(ツァイ・チェンピン)氏とまとめたこのは、中国で生まれたSNSのマイクロブログ、微博がいかに中国を変え始めているか、その驚くべき実態をリポートしている。以前から日でも微博をテーマにしたは出ていたが、実際に現地で運営会社の幹部に取材したのはこのが初めてだ。 ユーザー数3億人以上の微博を知らなければ、新指導者を迎えた中国がどこへ向かうのか知ることはできない。それくらい重要なメディアなのに、日人は相変わらず「人民日報様」をありがたがっ

  • 政治家を育てる質問

    12月16日の衆議院選挙投票日。テレビ東京の開票特番「池上彰の総選挙ライブ」を担当しました。 放送中から思わぬ反響をいただき、テレビ東京にはいまも再放送やDVDの発売を求める声が寄せられているそうです。 テレビ東京の人たちはもちろんのこと、外部スタッフが総力を挙げて制作・放送したものですから、当然の評価とはいえ、その一翼を担った私も嬉しく思います。 いつも「いい質問ですね」が口癖の私としては、視聴者に「いい質問ですね」と言ってもらえる内容を目指したからです。 ただ、党首や候補者への私のインタビューは、ジャーナリストとして当然のことをしたまでで、これに関する評価は面映ゆいものがあります。 というのも、たとえばアメリカテレビ政治番組なら、政治家に対しての容赦ない切り込み、突っ込みは当然のことだからです。 日なら「失礼な質問」に当たるようなことでも、平然として質問をしますし、質問を受けた側

  • 尖閣問題にも動じない国際都市・東京の日常

    今週のコラムニスト:ジェームス・ファーラー 〔10月17日号掲載〕 9月のある日曜日、と私は娘を初めて都内の中国語学校に連れて行った。この週末のクラスに集まる800人の生徒はほぼ全員、日の公立校に通っており、週一回の中国語の授業は習い事の域を出ない。大半は日人と中国人を両親に持ち、残りは長年、日で暮らしている中国人夫婦の子供だ。中国語の日常会話だけでも身に付けてほしいと願う親の期待をよそに、休み時間の彼らは日語のおしゃべりに忙しい。 付き添いの親の中には、尖閣問題をめぐって高まる緊張への不安を口にする人もいた。だが、話題の中心はお決まりの学習塾や受験の話だった。 多様な文化が入り乱れる国際都市では当たり前の風景だ。私の「故郷」である東京、シカゴ、上海のようなグローバル都市は、エール大学の社会学者イライジャ・アンダーソンの言う「国際人の天蓋」に覆われている。いわば、目に見えない寛容

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    Gln 2012/10/26
  • 尖閣問題で大騒ぎする中国人の「本音」は

    今週のコラムニスト:李小牧 〔10月10日号掲載〕 歌舞伎町案内人の私が3度泣いた──。に愛人の存在がバレた嘘泣きではない。わが母国の中国と、第二の祖国である日のひどい衝突ぶりに涙したのだ。 日政府の尖閣諸島「購入」に怒った中国のデモが暴徒化して日企業の工場に放火し、日系デパートから時計や貴金属を盗んだ。デモと破壊活動が頂点に達した満州事変勃発日の9月18日前後、私は心配と興奮のあまり、3日間ほとんど寝ずにニュースの進展を見守った。 「趾高気揚(チーカオチーヤン、どや顔)」でひっくり返した日車の上に乗るようなバカな中国人の姿ばかりが目立ったが、マイクロブログ新浪微博(シンランウェイボー)では意外に冷静な意見が目立っていた。それに今回のデモ参加者数は数万人。13億人の全人口から比べれば、0・01%にも満たない。 まったく言い訳できないひどい暴力だ。とはいえ、この問題でなぜこんなに中

  • 固定為替相場への回帰で日本経済は救えるのか

    自民党の総裁選挙に立候補した林芳正氏は、党内きっての政策通として知られているが、彼が出馬に際して掲げた政策提言には、多くの人が驚いた。「多数の国家が人為的に自国通貨安を実現している現実を踏まえ、自由変動相場制の見直しを提言し、その実現を目指します」と書かれていたのだ。 自由変動相場制という言葉はないので、これは今、普通に行なわれている変動相場制のことだろう。石原伸晃氏も総裁選出馬の記者会見で「私は金融・財政のスペシャリストだ」と自称し、「為替政策がデフレに一番きくことは誰もがわかっている」とした上で「中国韓国などの通貨がドルに連動しているので下がらず円高になる」とし、その対策として「新たな国際協調の枠組み」が必要だと主張した。 1971年から40年以上にわたって先進諸国が採用してきた変動相場制から日が離脱するとなると大変なことだが、これにはどういうメリットがあるのだろうか。 まず問題は

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    Gln 2012/09/16
  • 中国政府の不作為、日本政府の無能:領土問題第2ラウンド

    「亭主、元気で留守がいい」というブラックなCMコピーが話題になったことがあった。今の中国政府は「国民、元気で無知がいい」だろう。 自国に駐在する外国の使節や高官の保護、安全、尊厳を守ることを各国に求めた「ウィーン条約」は「国際社会の常識」である。GDP世界2位の中国の首都で白昼堂々と、公道上でその「国際的な常識」をいともたやすく破壊する行為が起こったことは、犯人が誰であれ、どんな背景を持つ人物であれ、中国政府の責任が問われる。 しかし、わたしは個人的に、丹羽宇一郎日中国大使の乗った大使公用車から日の丸をむしりとって逃げた犯人は、たぶんこの「ウィーン条約」の存在を知らなかったのではないか、と思っている。日人の常識からすれば理解できないだろうが、実際に中国ではドイツ製高級車を乗り回しているような、「ステータス」と「カネ」を持った人物ですら、そんな「国際的な常識」の存在すらまったく頭にない

  • 「親日」か「反日」かでは語れない領土問題

    香港人活動家の尖閣上陸で始まり、19日の日曜日には中国各地での反日デモにまで発展した騒ぎに、「これからどうなるのだろう」と感じている日人は少なくない。わたし個人は逆に中国人の方が泰然としているという気がしている。というのも中国人はある意味、単純明確に「領土問題」としてこの事件をとらえているのに対して、逆に日側には見えていない点があまりにも多く、その状態で解読しようとすればするほどわからなくなり不安に結びつく、つまり「知らないこと」が猜疑を生んで怖れや戸惑いに結びついているように見える。 今回まず明らかになった「不明点」は、日社会には尖閣(中国では「釣魚島」、台湾や香港では「釣魚台」と呼ぶ。稿では中国側視点を紹介する場合は「釣魚島」で統一する)を巡る領土紛争についての認識に大きな誤解があることだ。 活動家の上陸が伝えられた瞬間から、ツイッターなどでは「反日」という言葉が飛び交い出した

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    Gln 2012/08/21
  • 「黒船」アマゾン来襲を前にして日本の電子書籍は壊滅状態

    経済新聞によれば、アマゾンが年内にも日電子書籍を販売するという。こういう記事はこれまでにも何度も出ており、今度も「狼が来た!」に終わる可能性もあるが、PHP研究所が10月中にも契約するというから、今回は根も葉もない話ではないようだ。 アマゾンは、日ではすでに電子書籍端末「キンドル」を投入しているが、電子書籍は売っていない。出版業界を取り仕切る取次との合意ができないからだ。日の出版流通は委託販売という特殊な方式になっており、はすべて取次が選んで小売店に配し、返品自由になっている。このため取次は出版流通の要であり、出版社からを仕入れて代金を前払いすることによって零細な出版社の金融機能も果たしている。これが電子化されると、取次は「中抜き」されてしまうからだ。 アマゾンのキンドルは、アメリカでは販売部数で紙の書籍を超えた。部数は公表されていないが、紙の書籍100に対して電子書籍

    「黒船」アマゾン来襲を前にして日本の電子書籍は壊滅状態
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    Gln 2011/10/20
    『著者や出版社にとっては、流通チャネルはどうでもよく、共通フォーマットでたくさん売れればよい。今後は「プラットフォームは全世界で数社、コンテンツは細分化」というコンピュータ産業の水平分業構造が出版でも
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