HONZのブックマーク (915)

  • 下駄屋が始めたジャズ・レーベルの痛快物語 | 今週のHONZ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

    一般的に企業の寿命は30年とされているから、パラレルキャリアという言葉に注目が集まるのも無理はないだろう。しかし最も重要なのは、キャリアを2つ作ることではなく、どのように持続可能な状態を築けるかという点にある。 大阪の新世界において、下駄屋を営む澤野由明氏。彼は創業100年を超える老舗「さわの履物店」を経営する人物だ。この下駄屋の店主がなぜかジャズ・レーベルを始め、今や世界中に多くのファンを持っているという。書『澤野工房物語』はこの澤野氏のビジネス群像を描きながら、格好のジャズ入門書としての側面を持ち、さらには多くのビジネスマンの生き方指南書にもなりうる1冊だ。 好きを貫くために必要なこと 下駄とジャズ、この一見無関係に思える2つのキャリアが、交わりそうで交わらない。まず最初に注目したいのが、澤野氏にとって一番好きなジャズを、メインの仕事ではなくサブに位置付けたことだ。サブであったからこ

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    HONZ 2018/11/24
  • 『澤野工房物語』下駄とジャズの二刀流で、細く、長く、好きを貫く - HONZ

    人生100年時代と言われる昨今だが、一つ気になっていることがある。それは人生が長くなっているにもかかわらず、会社の寿命は案外短いということだ。 一般的に企業の寿命は30年とされているから、パラレルキャリアという言葉に注目が集まるのも無理はないだろう。しかし最も重要なのは、キャリアを2つ作ることではなく、どのように持続可能な状態を築けるかという点にある。 大阪の新世界において、下駄屋を営む澤野 由明氏。彼は創業100年を超える老舗「さわの履物店」を経営する人物だ。この下駄屋の店主がなぜかジャズ・レーベルを始め、今や世界中に多くのファンを持っているという。書はこの澤野氏のビジネス群像を描きながら、格好のジャズ入門書としての側面を持ち、さらには多くのビジネスマンの生き方指南書にもなりうる一冊だ。 下駄とジャズ、この一見無関係に思える2つのキャリアが、交わりそうで交わらない。まず最初に注目したい

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    HONZ 2018/11/19
  • 『いま、息をしている言葉で。「光文社古典新訳文庫」誕生秘話』なぜ現代に古典が蘇ったのか - HONZ

    この秋、出口治明さんと古典を学ぶ講座に参加している。毎月1冊、光文社古典新訳文庫のラインナップの中から出口さんがおすすめの作品を取り上げ、当日はそのにまつわるお話と(しばしば脱線するがこれが楽しい)活発な質疑応答とで、あっという間に2時間が経ってしまう。実に中身の濃い贅沢なひとときだ。 講座は全5回で、初回はダーウィンの『種の起源』、2回目はプラトンの『ソクラテスの弁明』だった。ちなみに来月予定されている3回目はヴェルヌの『地底旅行』だそう。自然科学、哲学と来てまさかのSFという流れが素敵である。 「古典を読めば、世界がわかる」と題されたこのイベント、どうしてこんなに面白いのか。もちろん博覧強記の出口さんの語り口に多くを負っていることは間違いないが、「古典新訳文庫で作品に触れる」という点も大事なポイントだと思う。実際、このレーベルのおかげで初めて最後まで読み終えることができた古典がたくさ

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    HONZ 2018/11/18
  • 『現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論』経済学はどこに向かうべきなのか? - HONZ

    経済学とは何か?―こんなシンプルな質問にさえ、今の経済学は答えるのが難しい状況にある。かつて、個々の経済主体の行動から経済全体の動きを理解するミクロ経済学と、GDPなどの集計量から経済全体の動きを扱うマクロ経済学の二つが主流だった頃には、「経済現象を対象とし、それを解明する学問」で済んだものが、20世紀半ば以降、従来の主たる研究対象だった市場メカニズムだけでなく、企業のような市場以外の経済制度も分析対象とするようになり、急速に多様化・複雑化していった。そして、過去30年の間に、書の副題にあるようなゲーム理論や行動経済学や制度論といった新しい手法が次々と生まれてきた。 こうした中で、書は、経済学とは何かという答えを示す代わりに、現在の経済学の広範で多様な様相を整理することで、そもそもなぜこの問いに対して簡潔に答えるのが難しいのか、経済学はなぜそれほどまでに複雑になったのか、そして経済学

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    HONZ 2018/11/08
  • 『10億分の1を乗りこえた少年と科学者たち』 世界初のパーソナルゲノム医療はいかに実現したか - HONZ

    2003年、ヒトゲノムの解読が完了し、科学は歴史的な一歩を踏み出した。それから6年後の2009年、今度は医療において大きな一歩が踏み出される。患者個人のゲノムを解析し、その結果にもとづいて診断・治療を行うという「パーソナルゲノム医療」が産声を上げたのだ。書は、医師と研究者、そして患者と家族に焦点を当てながら、その新たな医療が生まれるまでを描いたドキュメンタリーである。 先に言ってしまうと、書がことさら魅力的なのは、それが豊かな科学的知識を授けてくれるからではない。そうではなく、登場人物たちの悲喜こもごもを濃密な筆致で描ききっていることこそが、書の際立った魅力であろう。その点において、ピューリッツァー賞も受賞しているこのジャーナリストのコンビはやはり強力だ。事実を淡々と積み上げていく記述ながら、最後に読者をアッと言わせるだけの力がある。 舞台はアメリカのウィスコンシン州。5歳になるニコ

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    HONZ 2018/11/02
  • 最後の魔境へようこそ! ”ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活” - HONZ

    かつては釜ヶ崎とよばれ、いまは、あいりん地区とよばれるドヤ街が大阪・西成にある。 その中心にある三角公園から北東方向を撮影したのが表紙の写真だ。右奥にひときわ高くそびえているのが地上300メートル、日一の高さを誇るビル「あべのハルカス」。左側に壁のように見えるが大阪市立大学医学部附属病院、そのすぐ向こう側は大阪市立天王寺動物園である。 土地勘のない人にもわかってもらえるだろう。あいりん地区は多くの市民が憩う場所から目と鼻の先にある街だ。しかし、大阪市民の多くは、その名を知っていても、足を踏み入れたことはないはずだ。わたしもその一人である。このを読めばわかる、ここは大阪の魔境なのだ。 東京でいえば山谷にあたるのだろうか。しかし、筑波大学を7年かけて卒業し、就職しそこねたライター志望の國友クンは、東京からわざわざ西成へ取材に遣わされたのだ。このような場所はもう西成にしか残っていないのかもし

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    HONZ 2018/10/27
  • 医師にも患者にもバイアスだらけ 『医療現場の行動経済学』 - HONZ

    京都大学の庶佑特別教授のノーベル医学生理学賞受賞が決まり、日中が湧いている。この素晴らしい快挙の一方で、医療現場では混乱も生じているようだ。がん治療の現場で、医師が手術を選択したにも関わらず、患者側からオプジーボを使用したいと相談があるようなのだ。なぜ、患者側はそう考えるのか。書は、その「なぜ」に答えるである。 当然のことだが、医師はオプジーボの存在は知りつつ手術を選択している。冷静に考えれば、患者もそれはわかるだろう。しかし、生きるか死ぬかの瀬戸際で、毎日のように「オプジーボで命を救われました」という報道を目にしている患者の気持ちもわかるような気がする。 このような医療現場の意思決定について、現在の医療ではインフォームドコンセント(説明と合意)という手法が一般的にとられている。しかし、情報さえ提供すれば、患者は合理的な判断をできるのだろうか。書の執筆チームは、ここに昨年ノーベル

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    HONZ 2018/10/09
  • 『サバイバルボディー』短パン姿でキリマンジャロに登れ!体当たりサイエンス・ノンフィクション - HONZ

    「人間にはこんなことも出来るのか」と驚いたり感心したりした経験、みなさんにもありますよね。スポーツでアスリートの驚異的なパフォーマンスを目にした時なんかは特にそうかもしれません。身近な例で言うと、ある女優に聞いた話が印象に残っています。 きっかけは汗かきの話でした。ぼくは生来の汗かきで、人前で話す時に全然緊張してないのに汗ダラッダラになったりするんですが、きっと周りは「あいつ緊張し過ぎじゃね?」とか誤解してるに違いなくて、それが嫌なんですよねー、と冗談交じりに話していると、「あら。汗なんて簡単に止められるわよ」とこともなげに彼女が言うではありませんか。 その女優によれば、昔の撮影現場では至近距離からライトを当てられてものすごく熱かったと。もちろん汗まみれになるんですが、当時の監督って「バカ野郎、汗止めろ!」とか平気で無茶言うんですって。いたいけな彼女はキャメラの前に立つたびに必死で汗を止め

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    HONZ 2018/10/09
  • 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」のリアル

    しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書『サカナとヤクザ』は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した1冊だ。 表社会と裏社会の絡まり合うサカナの世界 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、1ミリの正義感も感じさせないのは、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナの世界では表社会と裏社会が複雑に絡まりあっていた。 まず驚くのは、私達が普段手にする海産物のうち、密漁によって入

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    HONZ 2018/10/06
  • 失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』 - HONZ

    書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロスコープを利用し、無支持で走行できる安定性を付与したものになるが、この技術は20世紀のはじめ頃(1900〜1910年)に開発され、その後大戦に突入したことで開発は中断。そのまま、それを成立させる技術も失われてしまっていた。 もともとモノレールが1レールで移動できるので、鉄道と比べれば2倍の輸送効率となり、ジャイロモノレールは既存の鉄道レールの上に乗っかってバランスをとることもできれば、それ以外の場所でもレールを一置くだけで走行できるなど、敷設費が安くおさえられる利点がある。ジャイロスコープを用いた車体の構築など、体費用は多額という難点もあり、一長一短ではあるものの、使い所はあるとみられていた。だが、一度開発が中断した後、再度この技術を再現しようとする人は長らく現れ

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    HONZ 2018/10/05
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第5回:男根語の試行錯誤 - HONZ

    放送禁止用語に阻まれた『探偵! ナイトスクープ』の幻の企画が、ついに書籍で実現。かつて『全国アホ・バカ分布考』で世間を騒がせた著者が、今度は女陰・男根の境界線に挑む! 第5回は「男根語の試行錯誤」について。「男根」もまた、京を中心にきれいな多重の円を描いていることが明かされる!(HONZ編集部) 第1回、第2回、第3回、第4回 次に「男根(陰茎)」の分布図にも目を向けてみましょう。「男根」についてのアンケート調査は、「女陰」の資料を集めたときに、同時に行ったものです。口絵の「男根 全国分布図」を眺めると、これもやはりみごとに多重周圏分布を見せています。(※注:男根全国分布図は書籍のみに掲載) 「カモ」だけは新潟以北に限られますが、「ヘノコ」「シジ」「マラ」「ダンベ」はきれいに円を描いています。さらに続く「チンポ」系語は、「(オ)チンコ」「チンボー」「チンボ」を経て、現代の標準語「チンポ」に

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    HONZ 2018/10/05
  • 『サカナとヤクザ』ニッポンの食卓を支える、魑魅魍魎の世界 - HONZ

    裏社会のノンフィクションはこれまで何冊も読んできたが、最も面白みを感じるのは無秩序のように思える裏社会が、表社会とシンメトリーな構造を描いていることに気付かされた時だ。 しかしここ数年は暴対法による排除が進み、ヤクザの困窮ぶりを伝える内容のものばかり。相似形どころか、このまま絶滅へ向かっていくのかとばかりに思っていた。だから彼らがこんなにも身近なところで、表社会とがっちりスクラムを組んでいるとは思いもよらなかったのである。 書は、これまでに数々の裏社会ノンフィクションを描いてきた鈴木智彦氏が、サカナとヤクザの切っても切れない関係を、足掛け5年に及ぶ現場取材によって描き出した一冊だ。 これまでなぜか語られることのなかった品業界最大のタブーを真正面から取り上げながら、一ミリの正義感も感じさせないのが、著者の真骨頂である。そして、もはやヤクザの世界に精通していなければ読み解けないほど、サカナ

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    HONZ 2018/10/04
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第4回:女陰名+「する」だけが「性交する」ではない - HONZ

    放送禁止用語に阻まれた『探偵! ナイトスクープ』の幻の企画が、ついに書籍で実現。かつて『全国アホ・バカ分布考』で世間を騒がせた著者が、今度は女陰・男根の境界線に挑む! 第4回は「女陰名+「する」だけが「性交する」ではない」ことについて。『女陰語』+『する』の歴史は、実はけっこう浅かった!?(HONZ編集部) 第1回、第2回、第3回 女陰名+「する」だけが「性交する」ではない 歌島では、女陰名「オメコ」に「する」をくっつけて「オメコする」で、「性交する」という意味になります。これは「オメコ」の場、関西でも同じことです。東京でも「オマンコする」ですね。では、「マンジュー」や、「ボボ」の地域などでは、どう言うのでしょうか。これはきわめて興味深い問題と言わねばなりません。なぜなら、イヌやネコ、ウシ、ブタ、あるいはニワトリやトンボなどの場合は、「オマンコする」などとは言わずに、現代は「サカル」と言

    【連載】『全国マン・チン分布考』第4回:女陰名+「する」だけが「性交する」ではない - HONZ
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    HONZ 2018/10/02
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第3回:かわいくて優雅な「オマンコ」 - HONZ

    憶良は、わが子を得て、心弾む幸福感に包まれます。およそ世の中に、この幸福に共感を覚えない親があるでしょうか。憶良の心情は、古今を通じて世界の親の心情でもあったでしょう。 こんな思い出があります。大学3回生、1970年の夏のことでした。郷里の友人大阪万博を見にいくため茨木の駅で降り、万博会場行きのバスに乗って座席に座りました。やがてバスは混んでゆき寿司詰めの状態になりました。私の目の前に、父親に連れられて乗ってきた幼い女の子が立ちました。私は即座に、自分の席を女の子に譲ってあげました。そのときです、30代半ばの父親がさっと私に向き直り、「まことに、ありがとうございます!」と、深々と頭を垂れたのです。私は何ごとかと、驚きました。こんな大人の男性が、20歳の青二才たる私の如きにそんな礼儀正しい感謝の態度をとってくれるとは、啞然とするほどの衝撃でした。父親というものは、わが娘のためなら、こんなこ

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    HONZ 2018/09/27
  • 『失われゆく日本 黒船時代の技法で撮る』縄文時代から受け継がれてきた知恵にこそ、現代の問題を解決するヒントがある - HONZ

    『失われゆく日 黒船時代の技法で撮る』縄文時代から受け継がれてきた知恵にこそ、現代の問題を解決するヒントがある エバレット・ケネディ・ブラウン氏は、現代では極めて稀な湿板光画を使ったフォトジャーナリストである。湿板光画とはガラスに感光溶剤を塗布した板で写真を撮影する技法で、1850年代から普及し、乾板写真が発明される1870年代までの短い期間使われていた。日にも、江戸幕末期の安政年間(1854-1860年)の初めに輸入され、墨絵のような表現力で味のある世界を数多く映し出してきた。 エバレット氏は現在、京都近郊で滋賀県の月心寺に居を構えながら、1860年代に作られた古いカメラとレンズを使って、自身が「タイムマシン」と呼ぶこの湿板光画の技法で時を超えた日の記録に取り組んでいる。 生まれはアメリカのワシントンD.C.で、若い頃に世界中を旅して回り、29歳の時に日移住し、一時はEPA通信

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    HONZ 2018/09/24
  • 『江戸の目明し』時代劇のファンタジーを吹き飛ばす - HONZ

    銭形平次、人形佐七、三河町の半七…テレビドラマや小説で人気の親分たち。近年では中村梅雀さん演じる黒門町の伝七がよかったなあ。かつて同じ伝七を演じて大ヒットを飛ばした父上・中村梅之助さんから、亡くなる直前に秘蔵の十手コレクションを託されていたとか。劇中で使われていたのがその十手なのかどうかは定かではないが、紫房の十手を大切に神棚に祀る姿は、亡き父上への敬意を胸にこの役を受け継いだのであろうと思われて、なおさら感動し楽しく拝見した。いいねえ、時代劇。江戸の人情。人の世は情。そして正直、まっつぐこそ庶民の心意気…。「よよよい、よよよい、よよよいよい!めでてぇな!」 ところが!岡っ引き、すなわち目明しの実態は、ドラマや小説とはかけ離れているのだという。そもそも十手は用がある時だけ貸し出され、捕り物が済んだら取り上げられるので神棚に祀るなんて無理無理。いやそも、建前では目明しは「存在しない」。いない

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    HONZ 2018/09/24
  • 『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』 - HONZ

    書は、イギリスのシンクタンク「デモス」のディレクター、ジェイミー・バートレットの最新作The People Vs Tech: How the internet is killing democracy (and how we save it)を全訳したものである。原題を直訳すれば、『「国民」対「テクノロジー」:インターネットはどうやって民主主義の息の根をとめるのか(そして、いかにして民主主義を救い出すのか)』となる。原書は2018年4月19日、ペンギン・ランダムハウス系列の出版社で、ノンフィクションを得意とするイーバリー・プレスから刊行された。 著者のジェイミー・バートレットは「デモス」でソーシャルメディア分析センターのディレクターとして働くかたわら、ジャーナリストとしても活動を行い、「スペクテイター」誌のネットニュースに寄稿したり、BBCなどに出演したりしている。邦訳は書が二冊目で、

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    HONZ 2018/09/21
  • 『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 - HONZ

    『生存する意識──植物状態の患者と対話する』 グレイ・ゾーンに閉じ込められた意識と、それを発見し、それと意思疎通する科学 植物状態と診断されながらも、じつは意識がある人たち。そうと示すことがまったくできなくても、たしかな認識能力を持ち、どうしようもない孤立感や痛みを感じている人たち。そうした人たちが置かれている状況を想像し、悪夢とも思えるその可能性に身震いしてしまった経験が、おそらくあなたにもあるのではないだろうか。だが現在の科学は、その可能性を前にしてただ震えているばかりではない。誰かが現にそうした状況にあるかどうかは、なんと科学的に検証できるようになりつつあるのだ。 書の著者エイドリアン・オーウェンは、その科学を「グレイ・ゾーンの科学」と呼ぶ。グレイ・ゾーンとは、おもに植物状態と診断されている患者の、「物事を満足に認識できないが、認識能力を完全には失っていない」状態である。そしてオー

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    HONZ 2018/09/20
  • 【連載】『全国マン・チン分布考』第2回:「女陰」方言のきれいな円 - HONZ

    放送禁止用語に阻まれた『探偵! ナイトスクープ』の幻の企画が、ついに書籍で実現。かつて『全国アホ・バカ分布考』で世間を騒がせた著者が、今度は女陰・男根の境界線に挑む! 第2回は「「女陰」方言のきれいな円」について。「女陰」の表現は、京を中心にきれいな多重の円を描いていることが明かされる!(HONZ編集部) 第1回はこちら 「女陰」方言のきれいな円 この「女陰」「男根」言葉は、「消滅の危機に瀕する」方言のひとつとして、文部科学省のバックアップのもと、東北大学教授の小林隆氏をリーダーにして(私と同じ、全国市町村の教育委員会への郵送によって)、2000〜02年に調査された数多くの語彙の中に含まれ、そのデータは早くも2003年に報告書として公開されました。 この成果はさまざまな研究者に活用されています。「女陰」については『方言研究の前衛』(2008)に、中井精一氏の研究報告があります。ただしここで

    【連載】『全国マン・チン分布考』第2回:「女陰」方言のきれいな円 - HONZ
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    HONZ 2018/09/20
  • 世界一不気味な「遭難怪死事件」の真相

    「ディアトロフ峠事件」をぼくはまったく知らなかった。これは冷戦下のソヴィエトで起きた未解決事件である。 1959年1月23日、ウラル工科大学の学生とOBら9名のグループが、ウラル山脈北部の山に登るため、エカテリンブルク(ソ連時代はスヴェルドロフスク)を出発した。 男性7名、女性2名からなるグループは、全員が長距離スキーや登山の経験者で、トレッキング第二級の資格を持っていた。彼らは当時のソ連でトレッカーの最高資格となる第三級を獲得するために、困難なルートを選んでいた。資格認定の条件は過酷なものだったが、第三級を得られれば「スポーツ・マスター」として人を指導することができる。彼らはこの資格がどうしても欲しかったのだ。 その夜彼らになにかが起きた 事件は出発から10日後の2月1日に起きた。この日、一行はホラチャフリ山の東斜面にキャンプを設営し(ホラチャフリはこの地に暮らすマンシ族の言葉で「死の山

    世界一不気味な「遭難怪死事件」の真相
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    HONZ 2018/09/16