ペロポネソス戦争は、古代ギリシャの歴史を変えた戦争でした。前431年に勃発した戦争では、当初アテナイが圧倒的な国力をもってスパルタを一度は追い詰めていました。それにもかかわらず、前404年に戦争が終結した時にはアテナイの方が敗者となっていたのです。 アテナイの敗因についてはさまざまな分析があるのですが、今回はその戦略には「防御主義への妄信」という根本的な問題があったことを指摘する研究を紹介したいと思います。 文献情報 Murray, Williamson, Knox, MacGregor, and bemstein, Alvin, eds. The Making of Strategy: Rulers, States, and War. Cambridge: Cambridge University Press.(邦訳、ドナルド・ケーガン「ペロポンネソス戦争におけるアテネの戦略」永末聡訳『