よつばと!(3) あずま きよひこ 『よつばと!』を読んでいて思い出すのは、丹生谷貴志氏の『死者の挨拶で夜がはじまる』という書物に収められた短文である。氏はその書物の中で次のように記している。子供たちの「論理は本質的に異様なほどに唯物論的である」と。子供たちは言うまでもなく大人よりも限定された知識の中で思考を重ねるしかない。したがって彼らが例えば、丹生谷氏の例を採るなら「青虫の腹が揺れるのは中に葉を溶かす工場があるからだ」と語る時、彼らは美しいメタファーによって事態を飾ろうとしているのではなく、あくまで現実的かつ即物的にそう語っている、ということになる。 この論理が果たして普遍的と言い得るのか否かはさしあたり置いておくが、『よつばと!』ではこの丹生谷氏の語る「異様なほどに唯物論的」な「論理」がよつばにおいて展開される。例えば、クーラーを使うことが例えば地球温暖化につながるという
物語には「計算」がある、と書いた。あたりまえといえばあたりまえのことだ。どんな物語も、自然に生まれてくるわけではない。かならずそれを考え出した人間がいる。 その人物はよりおもしろい展開にするために、緻密に物語を構成する。そのような作品では、ある展開は独立したものではなく、べつの展開への効果をねらっている。 「SLAM DUNK」あたりを例に考えるとわかりやすいだろう。恩師をまえに「バスケがしたい」と泣き崩れる三井の姿が感動的なのは、そこに至るかれの人生がえがきこまれているからである。ぎゃくにいえば、その一場面を盛り上げるために、それまでの展開が存在しているわけだ。 「ジョジョの奇妙な冒険」で、物語の最中にカットバックのようにして過去のエピソードが語られるのも、同様の効果をねらったものである。 同じことを描くにしても、その人物がどのような過去を背負っているか、どのような物語を踏まえてそこに立
楽しむYahoo!ブログの作り方♪ ここ何日かはてブで話題になっているブログなんですけど、もちろん、ブックマークされるのは単体のエントリであって、トップページではないわけです。今さらトップを見てたまげました。もー、見ていただくほかない。超絶。アダルトサイトですかと(入り口がどこかわかんねー)。そしてこの状態で「Yahooの負荷低減に貢献したい方は」こうしろとか言ってるのがよくわからんというか、Yahoo!ブログってほかはもっとデコデコなんですか? 世界一のロボット大国として飛躍を目指す気満々の韓国から、じつに独創的なロボ犬Geniboが登場。身長・体重は約30cm・1.5kg、「お座り」など100の音声コマンドを認識するほかBluetoothも搭載。開発した「DASA Tech」社ではこのユニークなロボット犬を実現するため40名のチームが三年の歳月を費やしたとのこと。 40人で3年もかかっ
よつばと! 4 (4) あずま きよひこ 彼らの世界はどこまでもかみ合わない。翻訳とコンニャク。つくつくぼうし。みうらの夏休みをめぐるジャンボの親切心。風香の失恋……登場人物の抱える希望や絶望はそれらが誤解されること、誤解であることが呆気なく明らかになってしまうことによって更に身も蓋もないところにまで突き落とされることになる。しかもそれは徹底してドライに描かれる。しかし、大方の出来事の原因を作る張本人であるよつばは元気だし、よつばを憎む人間も現れない。それは結局彼らが例えばよつばのもたらすノイズに対して、よつば自身にさほど責任を追及しない姿勢から来ている。もちろんよつばはミスをすると叱られる。例えば窓ガラスを割れば、当然怒られる。だが、誤解を招く言動について責任を追及されることは不思議と見当たらない。以前書いたことを繰り返せばそれは多分どの登場人物も、誤解に気付かないまま、もしくは
タイトルは大仰だけど、いわゆるロジカルシンキング指南。ただし、そこらのロジシン本と一緒にするなかれ。「知的複眼思考法」は今まで読み散らしてきたロジシンもので最高に腑に落ちてくるスゴ本なり。 これまでのロジカルシンキング本は、定義と書き方の説明と例の紹介の集積にすぎない。曰く、「今なぜMECEか?」「MECEとは」「MECEの例、書き方」「MECEの実践」でオシマイ。 だから読んでもソレっぽい書き方はできるけれど、あくまで見た目。ロジカルシンキングから導出される「アウトプット」と同じ書式だけれど、ロジカルシンキングをしていない。 いっぽう、本書の第3章の「問いの立てかたと展開のしかた」では、MECEとなるための思考方法を説明してくれる。実は、優れたツリーの裏側に何十枚もの「デッサン」がある。書いちゃ捨て、拾っては直しのスクラップ&ビルドが必要なんだが、フツーの指南本はそこを省く。本書には「デ
NEW! 建築文化シナジー第14弾 Y-GSA発、世界一受けてみたい建築の授業! 山本理顕、北山恒、飯田善彦、西沢立衛という建築家4人によるスタジオを擁する建築都市スクールY-GSA(横浜国立大学大学院)が主催した市民公開講座の一部を収録。 定価 : ¥2200 ご購入はこちら 好評販売中! 建築文化シナジー第13弾 結果は、プレゼン次第! コンペの勝ち方から、クライアントの説得の仕方、学生の設計課題まで、建築のプレゼンをめぐって、あの建築家、デザイナー、広告クリエイターが語ります。 平田晃久(建築家)/永山祐子(建築家)/中村拓志(建築家)/永井一史(クリエイティブディレクター)/西田司(建築家)+志伯健太郎(CMプランナー)/迫慶一郎(建築家)/グエナエル・ニコラ(デザイナー)/隈研吾(建築家)/青木淳(建築家) アイデアを効果的に伝える「10の
新世紀書店--自分でつくる本屋のカタチ 作者: 北尾トロ,高野麻結子出版社/メーカー: ポット出版発売日: 2005/04/15メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 26回この商品を含むブログ (14件) を見る予想外に面白かったこの一冊。三部構成になっていて、一つ目が表題にもなっている2年前に渋谷のパルコに出店していた新世紀書店の実況レポート。二つ目はそこでおこなわれたトークセッションのイベント。三つ目がイギリスにある「本の町」ヘイ・オン・ワイに関するレポートです。 実は表題になっている新世紀書店自体に関しては、ただの「本屋ごっこ」で見るべきものは何もないのですが、トークセッションが非常に面白いのです。ダヴィンチの横里編集長の話もとてもよかったのですが、特に大阪屋の鎌垣さんの話がすばらしい。これを読むだけでもこの本を買った価値はありました。前から思っていたのですが、ネット場で情報発
―西尾維新先生は『週刊少年ジャンプ』初登場ということで、読者のみなさんにひとことお願いします! 『週刊少年ジャンプ』をお読みのみなさま、はじめまして。 小説家をやっております西尾維新という者です。自分が小学生の頃から愛読している雑誌にこうしてコメントを寄せているというのはなんとも言い表せない不思議な気分ですが、いやはや生きていればいろんなことがあるようです。夢が叶ったというよりは夢を見ているような気持ちです。この瞬間ぱっと目が覚めるかもしれませんがその場合はすかさず二度寝させていただきますのであしからず。 ―『DEATH NOTE』は以前から読まれていましたか? 読み逃すわけがありません。コアな読者をアピールしたいわけではありませんが、読切版からのファンでした。連載になると聞いて、果たしてあの設定でどう連載になるのかと思いましたが、なるほどこう来るかという感じでした。最終回に
佐藤秀峰『海猿』 漫画として実にやりやすそうな設定である。 海上保安庁の物語。「海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧する」という海上保安庁法1条の規定どおり、崇高な社会的使命。そのために海上保安官たちは自分の命を賭する。 救助される人が生きるか死ぬかという緊迫感。 そしてその最高の使命を果たすために自分の命を犠牲にするかもしれないという緊張。 そのうらはらに持たれるであろう仕事の「やりがい」。 消防士や警察官などを使えば、青年誌でいかにも類似作品が山のようにできそうな描きやすさではないか。 漫画評論家の伊藤剛は佐藤秀峰について、 「ヒトサマの生き死にを描き、そのことで商業的に成功した作家である」 と「あえて酷薄」に書いたことがある(※)。伊藤は『海猿』について「物語が進むにつれ、危機的なエピソードのインフレが起こる。どこか、効果的な表現をドライブさ
高校理科 教養に? 物理は4万部 検定外の理科「新しい高校教科書」シリーズ(講談社ブルーバックス)が好評だ。社会人の購入も目立つこのブーム。教養の復活なのか、公教育に対する不満の表れなのか。 同シリーズは4冊。1月に化学と生物、2月に物理と地学を出版。いずれも発売後数日で版を重ねた。 「新しい高校物理の教科書」は、やや厚めの374ページ。値段も1150円(税抜き)と、ブルーバックスとしては高めの設定だが、4万部を突破している。 項目は、物体の動き、気体と液体、波動、電磁気、原子、相対論・量子論で検定教科書と大差ない。検定外といっても“異端”を目指すわけではない。「内容が細切れで、物理の全体像が把握しにくくなりがち」という検定教科書の弊害を是正するのが狙いだ。 現在の検定教科書では、万有引力、放射線や放射能などは上級の「物理2」で学ぶ。つまり、社会で触れる機会も多いこれらの事柄は、理系大学を
小林カツ代『自給自足』 「しんぶん赤旗」のほうで、こうの史代『さんさん録』(1巻、双葉社)について「読むと家事がしたくなる」というタイトルで書評を書いた(06年4月26日付)。自分も家事をする必要にせまられているうんぬんと書いたら、まず、つれあいから「抗議」が。 「だいたいあの文章だと、離れていた独り身のときは家事していなくて、なんであたしといっしょになったとたん、家事をする『必要にせまられる』ワケ!? あたしが家事させてるみたいでしょ!」 いや、そういうわけでは……。つか、威張るほど「家事」してませんし。 『さんさん録』は定年後すぐに妻に先立たれた男が、息子夫婦のもとで「専業主夫」をしながら暮らす話だが、家事を覚えたての主人公がこう嘆息するシーンがある。 「食うために働き 働くために食い 片付けてはちらかし ちかしては片付け……… 生きる事は なんと無為なのだ」 このつぶやきを聞いて、虫
■[comic]よつばと!熟睡 19:38 どうして人は、幸せだと眠くなるんだろう? 楽しいことがたくさんあった日、アタシはいつもベッドの中で、睡魔と熾烈な戦いを繰りひろげる。せっかく楽しいことがあったのだから、眠るまえに楽しい出来事のアレコレを、じっくり反芻しておこう。……そう考えてベッドに入り、目をつぶって「反芻モード」のスイッチをONにしたハズなのに、いつだってアタシは反芻が終わるまえにあっけなく眠ってしまう。「ぬぅ、鉄は熱いうちに打て! 思い出は熱いうちに思いだせ!」と気合いをいれても、思いだしている途中で幸せになって、それで眠ってしまうのだ。全戦全敗、睡魔の勝ち。 『よつばと!』(あずまきよひこ / メディアワークス)を読むと、アタシはいつも、このことを考える。アタシは『よつばと!』が大好きだ。大好きで大好きで、このマンガを読むと毎回幸せになって、それで眠たくなってしまうのだ。
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