シャープの2017年3月期第1四半期決算は、不採算事業の撤退や経費削減で営業赤字幅は縮小したが、全事業で減収となり、今後に不安を残す内容となった。3月末で312億円だった債務超過額は6月末で750億円に膨らんでいる。 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業からの出資が実現すれば、債務超過は解消されるはずだった。当初、出資完了は6月末をメドとしていたが、いまだ実現されていない(8月3日現在)。 理由は中国当局による独占禁止法にかかわる審査が終わっていないことだ。シェアが比較的高くなるのは、車載用ディスプレー事業などが考えられるが、どの事業が実際に審査の焦点なのかは明らかにされていない。 すでに“実効支配”は始まっている 審査長期化の理由に、競合している中国の液晶メーカーによる、中国政府への働きかけを挙げる向きがある。中国の液晶大手、BOEや天馬微電子は地方政府からの手厚い支援を受け、液晶工場を近年相