最近はヴィルヘルム・ライヒの本をいろいろ読んでました。いきなりすごく感覚的な話で恐縮ですが、僕は10年代は「心の時代」になるんじゃないかと勝手に想像していて、ライヒもその想像の延長で読んでます。 たとえば、前回言及したように、宇野常寛さんの本はセカイ系のナルシシズムを強く批判しています(付け加えておくと、これは宮台真司さんの主張の延長線上にあります)。しかし、冷静に考えれば、1970年代以降のポストモダン社会というのは、特にフェミニズムとエコロジーを通じて、かなり人為的にナルシシズムを殺してきた社会です。だからこそ、いまだに時代錯誤的なナルシシズムを抱えているように見えるオタク文化やセカイ系に、強い感情的な反応が集まるわけです。 これは比較的わかりやすい話だと思いますが、意外にその含意はつきつめられていない。たとえば、ナルシシズムというとフロイトですが、彼は他者(対象)を愛するためには