ハッカー宣言 マッケンジー・ワーク 河出書房新社 2005 McKenzie Wark A Hacker Manifesto 2004 [訳]金田智之 いま、世界は二つの階級が激突する時代になっている。ひとつの階級をベクトル階級という。もうひとつの階級はハッカー階級である。数からいえばベクトル階級が大多数を占める。 ハッカーは少数か、さもなくば無名だが、新しい概念と新しい知覚と新しい興奮を、既存のデータから抽出することに熱心だ。ハッカーが踏みこむコード・ソサエティにおいては、ハッカーはそこに新しい世界の可能性を付与したいのだ。ハッカーは新しいものを世界に投げ入れる可能性をもっている。しかしハッカーはみずからが生産する何ものを所有しようとは思わない。むしろその何ものかがハッカーを所有すればいい。 けれども、このようなハッカーの立場と思想と行為はベクトル階級によって忌み嫌われる。叩かれ、潰され