むかしは言いたいことがたくさんあった。最後に思いの丈をぶつけてやろうと心に決めていた。なのに、今はもう書けない。言葉が出てこない。いまのおれの言葉はむかしのおれには届かない。おれはもう、むかしのおれとはわかりあえない存在になってしまった。 だから、むかしのおれが心の底から軽蔑していた連中と同じようなことをしないためにも、したり顔で偉そうなことを言うのはよそう。そうでなければむかしのおれが救われない。それに、むかしのおれは絶対に納得しないだろうけど、おれはいまでもあの頃の感情を忘れてはいないんだよ。あの頃おれが感じていたものは紛れもなくリアルだったんだ。 グングニル そいつは酷い どこまでも胡散臭くて 安っぽい宝の地図 でも人によっちゃ それ自体が宝物 「こいつは 凄い財宝の在り処なんだ」 信じ切った彼もとうとう その真偽を確かめる旅に出るとする 誰もが口々に彼を罵った 「デタラメの地図に眼