現行法では、民族などの大きな集団に向けられたヘイトスピーチの責任を、刑事、民事の裁判で問うことは難しい。今年6月、不当な差別表現は許されないと宣言する「ヘイトスピーチ解消法」が施行されたが、この法律には罰則がない。 しかし、ヘイトスピーチが特定の個人・団体に対して向けられていれば、名誉毀損や侮辱として法的責任を追及できる。 今回の裁判は、ひとりの在日朝鮮人が、在日朝鮮人排斥を掲げる在特会元代表から差別的な発言を受けたとして訴えたもの。ヘイトスピーチ的な要素が、民事裁判でどう考慮されるのか。ヘイトスピーチ問題の中心となってきた団体がかかわる、象徴的な裁判として注目を浴びていた。 どんな発言だったのか?争点となった発言は原告・被告双方合わせて、A4用紙に15ページ分。判決はそのうち桜井さんの発言2点を名誉毀損による、19点を侮辱による不法行為と判断した。 名誉毀損とみなされたうちの1つが、20