役職が同じ同期入社40人を集めた新人研修。自己紹介した瀬下かおり(仮名)に、研修担当の上司が聞き返した。 「瀬下さん、大卒なの?」 気まずい気持ちでうつむいて「はい」と返事した。ところが、かおりの次に自己紹介した新入職員も四大卒だった。上司は「君も大卒? 今年は何だかすごいねえ」と感嘆の声を上げた。 1996年4月。かおりは郵政省国家三種の公務員として、社会人のスタートを切った。上司が驚いたのは、大卒は通常、幹部候補生として採用する国家一種、二種を目指し、国家三種は高卒人材の就職先と想定されているからだった。 「私が採用された地域の国家三種の同期は40人でしたが、そのうち20人が四大卒でした。私のように国公立大学出身者も結構いたので、研修を担当した上司たちは騒いでましたね。しかも数週間の研修の間に、10人は就職浪人組だと判明しました。私だけじゃなかったんだと、本当にほっとしたというか、心強