SSRIなどのうつ病用治療薬は、”無快感症”として知られる楽しさへの不感症に対してはほとんど効果がない。だが、主に動物の麻酔薬として使用されており、人間に対しては薬物指定されているケタミンという麻薬には、うつ患者に喜びを取り戻す作用があるらしいという。 以下はサイコロジー・トゥデイに掲載された心理学者エミリー・ディーンズの論文からの抜粋である。 ケタミンは既存の治療薬では考えられないほど、急速にうつを回復させる効果があるとしてCBSニュースで特集された。通常、静脈注射によって投与され、幻覚や解離という副作用を引き起こす。しかし、慢性的ストレスによって生じたシナプスの損傷を回復し、30~40分という短時間でうつ症状を回復させるようだ。 ケタミンの欠点といえば、その効果が長く持続しないことである。運がよければ1、2週間は効き目が保たれるが、それが過ぎればうつは再発する。それでも研究者や医療者は