ミールに最初期に搭乗したクルーは、「ドラゴンフライ(トンボ)」と呼んだ。1995年にスペースシャトル「アトランティス」から撮影されたこの写真を見れば、その理由は明らかだ。左端に脱出ポッドの「ソユーズ」、右端に補給船「プログレス」がドッキングされている。(PHOTOGRAPH COURTESY NASA) 宇宙ステーション「ミール」内に残された酸素は24分間分だった。マイケル・フォール氏の耳が痛んだ。外壁にあいた穴から空気が抜けているせいで、圧力が低下しつつあるのだ。 フォール氏はミールの脱出ポッド(ソユーズ宇宙カプセル)に一人で座り、同僚のロシア人宇宙飛行士2名が合流するのを待っていた。ところが、その頃、彼らは必死になってミールの中を駆けずり回り、無人補給船がミールを構成する接続ノードに衝突して空けた穴の場所を特定して塞ごうとしていた。 暗闇の中で待っていたフォール氏の頭に、訓練中に繰り返