(この記事は数理物理 Advent Calendar 2018 - Adventar 4日目の記事です。) 固定点を持つ剛体の運動を表す方程式(つまり,コマの方程式)はオイラー・ポアソン方程式と呼ばれ*1,以下のように書ける. 本記事の目標はこの方程式がラックス形式で書けることを確認することである.それを通して,リー・ポアソン構造の有用さが分かると思う. この問題に対する私のモチベーションを少し書く.オイラー・ポアソン方程式の可積分性というのは面白い問題であるが,本来,可積分性はシンプレクティック形式から定まるポアソン括弧で書けるハミルトン系に対する概念である.そこで,オイラー・ポアソン方程式が今のべた意味でのハミルトン系で書けるかというのを調べたいのが私のモチベーションである. 準備 ポアソン構造 リー・ポアソン構造 ラックス形式 オイラー・ポアソン方程式 準備 少し長いので簡単な流れを