ことし3月、NHKの取材班は、若狭湾の海底で巨大な沈没船の水中撮影に成功しました。専門家による分析の結果、その船は終戦直後に原因不明の沈没を遂げた「病院船・第二氷川丸」であることが分かりました。病院船は戦時中、敵味方なく負傷兵を治療し、攻撃してはならないとされていた「海上の聖域」でした。その船がなぜ沈んでいたのか。当時の外交史料や乗組員たちの証言から、沈没船の謎と戦争の知られざる事実が分かってきました。 (福井放送局ディレクター 寺島工人) 「宝を積んだ船がある」「東南アジアからの略奪物資を積み込んでいた」…戦後、若狭湾周辺では謎の沈没船伝説が語り継がれてきました。さらに福井県の水産試験場から「魚礁の調査の際、舞鶴港からおよそ40キロの沖合で、船らしき物体を目撃した」という情報が得られました。 そこで、ことし3月、NHKの取材班は海洋調査会社の協力を得て、周辺を探索しました。舞鶴港からおよ