→紀伊國屋書店で購入 「LCCの台頭」 本書はいわゆるLCC(ローコストキャリア)を乗り継いで、地球を一周してみるという趣旨の旅行記である。LCCはここ30年ほどのあいだに出てきた、格安を売りにする航空会社の総称で、サービスや人件費を徹底して削減することによって、驚くほど安値の航空運賃を実現したことで知られる。日本でもJALの騒動があった折り、旧態依然とした日本の航空事情を指摘するのに、しばしばこのLCCが引き合いに出された。 著者の下川氏は、そのLCCが現実をどう変化させ、またひとびとにどう受け入れられているかを、身をもって体験していく。たとえば、LCCの飛行機は空港の滞在時間をできるだけ減らすために、メインターミナルから離れた場所に着陸することが多い。そして、ほんの僅かの間をおいて、すぐに次の乗客を載せて離陸するのだ。その過密なサイクルゆえに、一度アクシデントが生じると、しばしば代替便