イギリスの小説家メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を発表して2018年で200年となる。生命の謎を解き明かした科学者ヴィクター・フランケンシュタインが死者の断片をつなぎ合わせて生み出した怪物は、その後、何百という芸術作品のテーマになってきたが、この小説で提起された「創造物による創造主への反乱」や「神に代わり生命を創り出すことの代償」、「性と生殖の分離」といった問題は、人工知能や幹細胞などにまつわる技術が飛躍的に発達する今日、古びるどころか、ますます現代的なものになってきている。 ゆえに、本展では、「フランケンシュタイン」が提起した問題に焦点を当て、中でも今日の芸術と通底する主題―「蘇生」「人新世」「生政治」―をもとに、9作家の作品を選んだ。一握りとはいえ、ここで紹介される5カ国の作家たちの作品には、「著作物としての生物」や「タンパク質による彫刻」、「人新世の芸術の原点としてのラン