体中のほぼすべての細胞は、さまざまな組織の細胞に分化するiPS細胞(人工多能性幹細胞)になる能力を秘めているという仮説を、京都大の山中伸弥教授が2日付英科学誌ネイチャーに発表する。応用を考える際には、どの細胞から作ったiPS細胞が最も安全かについて検討していく必要があるとしている。 iPS細胞は、体細胞に四つの遺伝子を入れて作る。しかし、作製効率が低いため、まれに存在する特殊な細胞のみがiPS細胞になるという考え方がある。山中教授は、iPS細胞になりうる体細胞はすでに決まっているという仮説を「エリートモデル」、ほぼすべての細胞がiPS細胞になる能力をもつという仮説を「確率モデル」と呼ぶ。 山中教授は、エリートモデルに矛盾する実験報告があるとして、総合的に考えると確率モデルに軍配が上がると指摘。iPS細胞の作製効率が低い理由については、導入した4遺伝子の働きが一定レベルに保たれるなどの条