◇来場ママ「見学し安心感」 自宅出産で生まれた直後の赤ちゃんと家族を撮影した写真展「生まれる~家族の看(み)まもりの中で」が10日、名張市桜ケ丘の市立図書館で始まった。初めて授乳される赤ちゃんや、新しい命を迎えた家族の喜びを切り取った200点が並ぶ。 被写体は、津市美杉町の助産師、勝原則子さん(48)が前住地の大阪府で生まれた赤ちゃんと家族。初めての我が子を食い入るように見つめる父、出産を見守って感動の涙を流す姉といった写真のほか、姉が母を励ますため、生まれたばかりの妹を抱く母の姿を描いた絵などもある。 勝原さんは年間10件前後、自宅出産を手がけており、中には頭まで生まれ出た我が子を「自分で取り上げたい」という母もいるという。勝原さんは「自宅出産は、安全を保証できる範囲で、注文に対応できるオーダーメードのお産」と言う。 2歳の長男を連れて見学に来た名張市の主婦(33)は「上の子の世話がある
オウム真理教による一連の事件は21日、教団元幹部の遠藤誠一被告(51)=1、2審死刑=に最高裁判決が言い渡され、上告が棄却されれば全公判は終結する。以前に遠藤被告とも面会した松本サリン事件の被害者、河野義行さん(61)に、事件発生時から公判終結までの思いを聞いた。【聞き手・石川淳一】 夜、自宅の庭からカタカタと音がする。出てみると犬が倒れていた。部屋に戻ると今度は妻もけいれんしていた。子供たちを集めて救急車を呼び、私もそのまま入院した。 翌日には病院で警察の聴取を受け、「本当のことを言ってください」と。犯人扱いされ、1カ月後の退院時にはマスコミに囲まれた。きっと逮捕されると思っていた。子供を落ち着かせるため「何もしていなくても死刑になることもある。間違うのが人間なんだ」と言い聞かせた。だからオウム真理教が起こした事件だと分かったが、恨む気持ちはすぐ切り替えた。恨んでも幸せになれない。 それ
◇「偶然の重なり、興味深い事例」 北九州市八幡東区の板櫃川で昨年、片脚がないツチガエルが大量に見つかった問題で、北九州市は18日、発生原因を「化学物質や遺伝などでなく、オタマジャクシの段階でヤゴに食べられた」とする調査結果を発表した。調査した専門家は「自然の偶然がいくつも重なって起きたと考えられ、生物学的に非常に興味深い事例だ」と指摘した。 片脚がないツチガエルは昨年5月から市民の連絡を受けた市の調査で数十匹相次いで見つかった。現場の水質を分析しても異常はなく、市は専門家でつくる「調査検討委員会」(委員長、小野勇一・九州大名誉教授)を設置。調査委はヤゴによる捕食の可能性が高いとみて調べていた。 調査報告書によると、ヤゴとツチガエルのオタマジャクシを同じ場所で飼育実験。オタマジャクシに生えてきた後脚などをヤゴが捕食したことを確認した。また、化学物質や紫外線などによる奇形との類似性が低いことも
河村たかし名古屋市長が率いる地域政党「減税日本」の東裕子・愛知県議(48)と金城裕・名古屋市議(51)がそれぞれ経営する会社で未承認の医薬品や健康器具を広告・販売していた問題で、愛知県警が薬事法違反容疑で両議員を任意で事情聴取する方針を固めたことが22日分かった。 県警は、商品や販売実績に関する資料の任意提出も求め、立件も視野に捜査を進める。 市などによると、東県議の化粧品輸入会社は、厚生労働省から医薬品として承認されていない肌用クリームを「やけどや関節痛に効果がある」とホームページに掲載するなどして販売した。 金城市議の通信販売会社はホームページで「腰痛や花粉症に効果がある」とうたい磁石を販売した。 両議員は6月、薬事法違反として行政指導を市から受け、その後は広告や販売を中止している。【高木香奈】
日本原子力学会で、原発事故後の原子力の未来について議論する原子力専攻の学生ら=北九州市で2011年9月21日、比嘉洋撮影 将来の日本の原子力産業や研究をリードすることが期待される原子力専攻の学生にも、「脱原発依存」が広がっていることが分かった。北九州市で19~22日に開かれた日本原子力学会に参加した学生に毎日新聞がアンケートしたところ、原子力政策について「原発への依存度を下げていくべきだ」と考えている割合が半数近くで、原発推進を望む学生を上回った。 アンケートは、同学会に参加した230人の学生から無作為に選んだ50人に聞き取りなどで実施。「東京電力福島第1原発事故を受け、今後の原発をどうすべきか」の問いに対しては「時間かけ原発への依存度を下げるべきだ」との答えが24人で最多。「現状維持か増設」は21人、「その他」は5人だった。「なるべく早く全廃」はいなかった。 「依存度の低減」を選んだ理由
◇人はなぜ信じるのか 人はなぜ信じるのか?--東日本大震災に関係するインターネットの中でのさまざまな書き込みをみて、感じるようになったのがこの疑問だ。 その中でも特に気になったのが「米のとぎ汁乳酸菌」。簡単に言うと米のとぎ汁に糖分を加え常温放置し、空気中に存在する細菌で自然発酵させた液体だ。これを使えば「放射能地獄」の中でも生き残れるというからすごい。 これを信じた一部の人たちは、これを飲むだけでなく、エアコンのフィルターに噴霧したり、そのまま吸い込んだり、目に目薬のようにさしたり、子供のために離乳食に入れたりしているという。 それで、当然目が赤く腫れ、子供が下痢になったりする。ところが、そうなっても「毒出し」とか「好転反応」とか言い--体の悪い所が表面に出るのは効いている証拠として続けたりしているらしい。 この話を聞いて、とても信じられず検索すると確かに実践している人たちのブログがゾロゾ
「平和の国」ノルウェーを襲った22日の連続テロ事件は、当初はイスラム過激派の犯行を疑う見方もあった。だが、逮捕されたのは逆に欧州で増加するイスラム系移民に反発する極右思想の青年だった。事件の動機と背景を探った。【ロンドン笠原敏彦、前田英司】 ◇容疑者は極右青年 ノルウェーからの報道によると、警察当局に逮捕されたのはアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)。インターネットへの投稿や地元メディアの報道から浮かび上がる人物像は、移民に寛容な北欧型の「開かれた社会」に反発を増幅させていった姿だ。自らを「愛国主義者」などと評し、その言動には自己陶酔の世界さえ垣間見える。 「信念ある1人の人間は(自らの)利益しか考えない10万人分もの力に値する」。ブレイビク容疑者が簡易型ブログ「ツイッター」に18日残した犯行予告とも読めるつぶやきは、19世紀の英国人哲学者ジョン・スチュワート・ミルの名言をまねたものだった
◇「正しい測定を」 東日本大震災以降、放射線量を計測できる線量計(ガイガーカウンター)が多数売れ、インターネットのブログなどには個人が測定した数値を公開する動きが活発になっている。ところが、線量計は適切に使わないと誤った数値を出しやすい道具でもある。科学者らが中心となり「より良い測定の仕方を知って」と呼び掛ける動きが始まっている。 「ウクライナ製15万9000円、入荷未定」「アメリカ製33万円、在庫僅少」。ネット上には通信販売の線量計があふれる。新潟県のある業者のもとには震災以降「政府が出す数値が信頼できない」などと購入申し込みが殺到しているという。 ネット上には、個人が測定した放射線量を公表し「政府の測定よりも高い。(放射性物質が局所的に高い値で検出される)ホットスポットではないか」と警戒を呼び掛けるサイトもある。 こうした状況に、大阪大の菊池誠教授(物理学)は「草の根測定は大事。自分の
郡山市で12万部を発行するタウン情報紙「ザ・ウィークリー」(5月7日号)が、放射線で「頭もよくなった」などと被ばくの“効能”を強調する記事を、実在の大学教授からの寄稿と偽って掲載したことが分かった。名前を使われた長崎大特任教授の宮里達郎氏(69)は「寄稿した事実はない。私が被爆者であることや肩書が勝手に使用されたのではないか」と話し、法的措置を検討している。 同号には「特別寄稿 福島への手紙1『長崎から』」との見出しで「長崎では被爆者が『原爆投下直後に、どんな野菜でも魚でも平気で食べた。おかげさまで、身体は元気で頭もよくなった。世間では何を騒いでいるのか!』と話しています」「被爆者は長命であるとのデータもあります」などと書かれ、「九州工業大学学長 宮里達郎」との署名がある。 宮里氏は、同紙の編集者と面識はなく、「学長」も8年前に退任している。宮里氏の知り合いの別の大学教授が郡山市で講演した
自転車の盗難を防ぐため、県警が推進中の「思いやりロック作戦」。開始から1年の9日、県内13の警察署が、各地で自転車への施錠を呼びかけるPR活動を展開した。 作戦は、駅周辺など23の駐輪場で、警察官や警備会社のパトロール隊員が、無施錠の自転車を見つけては特製の鍵を掛け、盗難を未然に防ぐという内容。持ち主が鍵に記載された連絡先(警察署)に電話すれば、24時間体制で署員が解錠に出向く。 宮崎市のJR宮崎駅では、宮崎北署員ら約50人が、通行人にチラシを配って施錠を呼びかけた。甲斐義勝生活安全課長は「作戦開始後、自転車盗の発生件数は確実に減っている。鍵をかける意識を浸透させていきたい」と話した。 県警生活安全企画課によると、昨年発生した自転車盗難事案は2542件(前年比69件増)。窃盗6940件の4割弱を占めた。ただ、今年1~5月の発生件数は791件(同318件減)だった。【中村清雅】
警視庁捜査1課の内部捜査資料のコピーが家宅捜索先の品川美容外科池袋院(東京都豊島区)の関係先で見つかった問題で、同外科には捜査1課経験者を含む数人の警視庁OBが再就職していたことが関係者への取材で分かった。現役捜査員と親交があるOBもおり、警視庁は内部情報がこうしたルートを通じて漏えいした可能性もあるとみて、地方公務員法(守秘義務)違反容疑の適用も視野に調べている。 池袋院では09年12月、東京都荒川区の無職女性(当時70歳)が脂肪吸引手術を受けた2日後に内臓損傷で急死。捜査1課が業務上過失致死容疑で捜査を始めた。 関係者によると、同外科には警視庁捜査1課幹部経験者など複数の警視庁OBが在籍。医療事故の捜査が始まった後には、捜査1課経験者を含む別のOB数人が新たに再就職していたという。 こうしたOBの一部は、捜査を担当していた捜査1課員と現役時代から知り合いで親交があったという。警視庁は、
◇2カ月で相談1400件 東日本大震災による福島第1原発事故以降、放射能汚染への不安に便乗した商法が全国で相次ぎ、国民生活センターへの相談が事故発生から2カ月余りで1400件を突破した。放射性物質の除去や被ばくの低減をうたった健康食品や浄水器の他、架空の未公開株や社債の売り付けまで手口はさまざま。トラブルも少なくないといい、同センターは注意を呼び掛けている。【石戸諭、金森崇之】 同センターによると、インターネットを中心に事故後、商品の宣伝が急増。「酵母を使った健康食品に、被ばく低減効果があるのか」「浄水器で本当に放射能を除去できるのか」などの相談が寄せられた。浄水器の中には効果が科学的に証明されていないのに約25万円するものもあった。 チェルノブイリ事故(86年)の際、放射線による急性中毒を防いだとされる砂糖玉を紹介するサイトも登場した。直径数ミリでボトルに入っており、約30粒で580円。
来月、大阪社会部に異動します。当コラムを私が書くのは今回が最後です。ちょうど80回目になります▲この欄で常に意識していたのは「ゼロリスクはあり得ない」という立場から、紙面で触れられることが少ない疑似科学や代替医療などの話題を取り上げ、自分なりの論評を加えることでした▲小さいコラムながら読者の皆様からの反響も多くあり、励まされました。記者としてのスタンスは新天地でも変えません。引き続き、よろしくお願いします。【石戸諭】
東日本大震災への対応で菅政権は、被災地支援と原発事故という「同時多発危機」への対処を強いられる苦境が続く。大津波のあまりの惨状に復興への足がかりをなかなかつかめず、原発事故は続出するトラブルへの対症療法的対応で一進一退が続く。発生からの1カ月を政治の現場から振り返る。【田中成之、野原大輔、野口武則】 ◇官邸チーム乱立 官僚にとまどい 菅直人首相や枝野幸男官房長官が原発事故の対応に追われた結果、政府の被災者支援は後手に回った。首相官邸の態勢を立て直そうと設置された「本部」や「会議」は傘下のチームも含めると20を超え、指揮系統の混乱がかえって首相の指導力不足を印象づけている。 「被災地は大丈夫ですか」。震災発生当初、「原発一色」の官邸を見かねた民主党の岡田克也幹事長や仙谷由人代表代行(前官房長官)は首相に繰り返し懸念を伝えた。「役所は自分で責任を負わない。誰に何をやらせるかが大事だ」が首相の持
非常時に普段以上のことはできない。東日本大震災以降、強く感じている。日ごろから疑似科学を批判している科学者は、普段と同じように根拠不確かな情報が広まらないように努めていた▲専門家の動きも迅速だ。東京大の早野龍五教授もツイッターを使って原発問題を分かりやすく解説している。未曽有の大災害で被害がどこまで広がるかはわからないが、できることをできる範囲でこなす人がいかに多いか。今後の復興に向けて希望も感じている。【石戸諭】
「餌不足のクマ」のためにドングリを山にまく行為が専門家から問題視されている、という記事を書いた。ある自然保護団体から「一方的な記事。自分たちの主張も書いて」と要望もあったが、多くの読者からは「やっと新聞が書いてくれた」と好意的な反応をいただいた▲「やっと」には理由がある。ドングリをまくことの問題を考えずに「善意」を礼賛する報道が多いのだ。困った現象だがまだ変えられると思う。読者の反応から、そう確信した。【石戸諭】
英カーディフ大と製薬会社が18カ国の男女1万人を調査し、妊娠に関する知識の日本の正答率は男性16位、女性17位という記事が本紙に載った。驚きはなかった。 バースコーディネーターの大葉ナナコさんが、生まれてきた力を伝える「誕生学」を編み出し、小学校などで授業をすることが増えたのは2003年。「子ども自身が命がけで産道を通って生まれたこと、赤ちゃんの時に家族からとても愛されたから、こうして生きていることを伝えるの。すると子どもたちは自信を取り戻し、未来に目を向ける」と教えてくれた。 子どもが「性」に関心を持ち、親に聞いてくるのは「5歳まで、小学3・4年生、思春期」。その際「大きくなってから」と先送りしないことが大切という。せっかくだから、当時3年生だった息子のクラスでも子ども向けと親向けの「誕生学」を、と担任に持ちかけると「大賛成」。ところが校長から「待った」がかかり、10人ほどの親だけのこぢ
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