2012年11月20日付 中外日報(社説) 山中伸弥教授のノーベル賞受賞は日本国民にとってうれしい知らせだった。山中教授が創出したiPS細胞は再生医療を急速に発展させ、難病の治療などで多くの福利をもたらす可能性がある。だが山中教授も度々指摘しているように、iPS細胞などによる再生医療の拡充によって、人類社会は多くの困難な生命倫理問題に直面することが予想されもする。 マウスではiPS細胞から卵子や精子を作ることが可能で、マウス個体を「作る」こともできるようになっている。人を「作る」ことも間もなくできるようになるだろう。動物の中に人間の臓器(例えば心臓)を作り移植するという目標も意識されているが、これは動物と人間の混じった生物体・キメラを作ることに通じている。 人為的に人を作ることができるのと並んで、生まれてほしいタイプの子どもを選ぶ可能性が高まる。それは卵子や精子の提供による非配偶者間人工授