国家資格 揺れる専門職 「心のケア」を担う心理の専門職を国家資格にする法案が、先の国会へ上程目前で見送られた。医療現場での活動に限定した「医療心理師」と、職場を限定しない「臨床心理士」の2本立てという異例の法案が生まれた背景に、心理専門職の資格を巡る確執がある。(解説部 南 砂) ■現状 民間資格 20以上乱立 自殺3万人時代が定着して、企業では労働者のストレス対策が重要な課題になってきた。学校現場も一向に減らない不登校児に苦慮している。昨年の新潟県中越地震や今年4月の兵庫県尼崎市の脱線事故などでも、心の傷(トラウマ)に悩む人々への対応が切実に求められた。 こうした問題に対応するのが心理カウンセラー(心理士)。医療現場では、医師の指示の下に患者の心理テストやカウンセリング(対話による心理治療)を行い、教育現場ではスクールカウンセラーとして、いじめなどに悩む生徒を支援するのが主な仕事だ。 高