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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (56)

  •  「ニッチ構築」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ニッチ構築―忘れられていた進化過程 作者: F.John Odling Smee,徳永幸彦,佐倉統,山下篤子出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2007/08/31メディア: 単行 クリック: 13回この商品を含むブログ (3件) を見る 進化現象は通常生物集団内遺伝子プールの個別遺伝子頻度が環境に適応して変化していくことをいうが,生物自体は,当然ながら環境に影響を与える.すると環境と生物の遺伝子がそれぞれ影響を与え合い,かつ世代継承していくことになる.これを統合的に見て進化を理解しようというのが書の主張である. 遺伝子と環境が影響を与え合っているというのは100%正しいだろう.おそらくそれは誰も疑っていないと思われる.そして問題はうまくモデルを作れるか,そしてそのモデルは通常の進化モデルにはできない現象の説明ができるのかというところだと思う. 書の構成は半分がニッチ構築は理論的に

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  •  「心の起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    心の起源―脳・認知・一般知能の進化 作者: D.C.ギアリー,David C. Geary,小田亮出版社/メーカー: 培風館発売日: 2007/11/01メディア: 単行購入: 3人 クリック: 62回この商品を含むブログ (2件) を見る 書は一般向けというより,もう少し専門的な端正な書物である.著述密度は高く,読み進むには結構体力が必要だ ヒトの心の進化的な成り立ちの解説としてはいろいろながあるが,これまでは領域特殊的ないわゆる「モジュール」部分が強調されて説明されることが多い.それはなんといっても,言語能力とか,心の理論とか,だまし検知モジュールとかは,あまりヒトの認知能力について考えたことのない人にとっては驚きの能力であり,その進化的な起源も単一の特定課題に対する適応として非常に興味深い仮説になるからだ. 書はモジュール的でない,いわゆる一般的な知能の進化的な考察についての

     「心の起源」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2012/07/11
    「そして興味深い著者の主張は,一般知能の重要な特徴の1つはヒューリスティックスによる解決を抑制することだという点だ.これは代謝レベルでの観察事実にも合致している」
  •  「頭のでき」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    頭のでき―決めるのは遺伝か、環境か 作者: リチャード E ニスベット,水谷淳出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2010/03/12メディア: 単行購入: 6人 クリック: 78回この商品を含むブログ (13件) を見る 「名誉と暴力」でアメリカ南部の文化を適応的に説明した社会学者ニスベットによるIQについてのである.原題は「Intelligence and How to get it: Why Schools and Cultures Count」*1 主な内容は,一部の極端な論者による「IQがほぼ遺伝で決まる」という主張が誤りであること,そしてどのような環境要因がIQの個人差に効いてくるかというものになっている.そういう意味では,書は副題にあるように「遺伝か環境か」という二者択一的な立場に立っているわけではない.遺伝「も」環境「も」効いているという当然の前提に立っている

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  •  「農耕起源の人類史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    農耕起源の人類史 (地球研ライブラリー 6) 作者:ピーター・ベルウッド京都大学学術出版会Amazon 原題は「First Farmers: The Origins of Agricultural Societies」農耕の起源と拡散のこれまでの考古学的な知見を総合化して示し,遺伝子,言語学からのデータをあわせて提示するという壮大なもの.コリン・レンフルーやジャレド・ダイアモンドも推薦の辞を寄せており,モニュメント的な大著だ.何しろ参考文献だけでA4判の書で小さなポイントを使って57ページを占めている. 読書体験は予想されるとおり,分野をまたがる統合,巨大な仕事を追体験する圧倒的なものだ.書の醍醐味はまさにこの巨大な仕事の追体験である.圧倒的な世界中のデータの統合から浮かび上がるのは,農耕の起源とともに農耕文化とその担い手の言語が急速に拡散し,遺伝子は勾配を持って混じり合っていくパター

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  •  「ゲーム理論による社会科学の統合」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ゲーム理論による社会科学の統合 (叢書 制度を考える) 作者: ハーバート・ギンタス,小川一仁,川越敏司,佐々木俊一郎,成田悠輔出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2011/07/14メディア: 単行購入: 9人 クリック: 328回この商品を含むブログ (17件) を見る 書はNTT出版による業書「制度を考える」の一冊.著者のハーバート・ギンタスはゲーム理論家で行動科学者ということだが,多くの学際的な活動で知られる.書もその邦題からわかるように非常に学際的な性格の強い書物であり,書を貫くギンタスの主張は「ヒトの行動にかかる学問は,社会科学,生物学,心理学,経済学という分野ごとに分断化され,相互に相容れないモデルを使っているが,それは大変嘆かわしい状況である.そして行動科学は,ヒトを拡張された合理性を持つプレーヤーと扱い,社会規範を入れ込んだゲーム理論によって統合が可能で

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  •  「農業と雑草の生態学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    農業と雑草の生態学―侵入植物から遺伝子組換え作物まで (種生物学研究 第 30号) 作者: 浅井元朗,芝池博幸,種生物学会出版社/メーカー: 文一総合出版発売日: 2007/03/01メディア: 単行 クリック: 6回この商品を含むブログ (2件) を見る 種生物学会の最新刊.今回は2002年のシンポジウム「新参者の種生物学:帰化植物,抵抗性雑草,組み替え植物を材料として」が下敷きになっている. というわけで書は進化生物学だけでなく,農学の芳香が漂う学際的な内容になっている.巻頭では進化生物学,農学,社会学の各分野の方による誌上パネルディスカッションが収録されていて,これがとても味のある対談になっている.農学はある意味実学だから,あるがままの好奇心から研究が進む生物学と微妙に趣が異なっていて,普段は生物学的な書物を多く読んでいる私にはこのような実学的な取り組み方はなかなか新鮮だった.

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  •  「ヒトはなぜ病気になるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ヒトはなぜ病気になるのか (ウェッジ選書) 作者: 長谷川眞理子出版社/メーカー: ウェッジ発売日: 2007/05/01メディア: 単行購入: 5人 クリック: 15回この商品を含むブログ (6件) を見る 長谷川眞理子先生による「ヒト,この不思議な生き物はどこからきたのか」に続くウェッジ選書第2弾である.前著は編集・共著だったが,今回は1人の手による書き下ろし著書である.題名からもわかるとおりダーウィニアン医学についての一般向け啓蒙書を意図している. 内容は,進化と究極要因に触れつつダーウィニアン医学とは何かを解説した後,直立二足歩行を行ったために生じる不具合,農耕と現代文明という新規な環境から生じる生活習慣病,寄生生物とホストの進化という観点からとらえた感染症を解説する.最後に妊娠出産に絡み著者の最近の関心事であるヒトの生活史戦略にかかる話題を取り上げている.この生活史戦略のところ

     「ヒトはなぜ病気になるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2011/07/26
    「最後に妊娠出産に絡み著者の最近の関心事であるヒトの生活史戦略にかかる話題を取り上げている.この生活史戦略のところは力が入っていて大変面白い.本書の読みどころだ」
  •  「迷惑な進化」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    迷惑な進化 病気の遺伝子はどこから来たのか 作者: シャロンモアレム,ジョナサンプリンス,Sharon Moalem,Jonathan Prince,矢野真千子出版社/メーカー: NHK出版発売日: 2007/08/25メディア: 単行購入: 12人 クリック: 275回この商品を含むブログ (62件) を見る 思いっきりチープなカバーデザインが購入意欲をそぐ作りだが,ダーウィニアン医学関連書籍の邦訳書は久々であり,読んでみることにした.著者は神経遺伝学,進化医学,人間生理学の研究者であるらしい.(邦題の「迷惑な進化」というのもいかにも出版者側の意図が強く出ている感じがしていただけない.) さてこのは導入部がいきなり面白い.著者は子供の頃,祖父が献血のあと生理的に気分がよくなるという話を聞き,医学図書館に連れて行ってもらって調べまくり,体内の鉄分が過剰になるへマクロマトーシスであると突

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  •  「クジャクの雄はなぜ美しい? 増補改訂版」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    クジャクの雄はなぜ美しい? 作者: 長谷川眞理子出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2005/09/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (12件) を見る 1992年に執筆された同題名のの第二版.第一版は行動生態学がまさに性淘汰の理解に突き進んでいた時期でもあり,その最前線にいた眞理子先生の興奮が伝わってくるようないいであった.第二版はその後の研究の進展から大幅に加筆改訂されており落ち着いた性淘汰の啓蒙書に仕上がっている. 特に大幅に加筆されているところは雌による選り好みの部分と性淘汰全般にかかる両性間のコンフリクト状況の理解の重要性の部分である.いずれも1990年代の後半に理解が深まった部分である.逆に第一版では特に眞理子先生人の経験と言うことで迫力のあったダマジカの研究がカットされている.結論が「よくわからない」と言うことなのでやむ

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  •  「日常の疑問を経済学で考える」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    日常の疑問を経済学で考える 作者: ロバート・H.フランク,Robert H. Frank,月沢李歌子出版社/メーカー: 日経済新聞出版社発売日: 2008/02/01メディア: 単行購入: 3人 クリック: 73回この商品を含むブログ (18件) を見る 感情の進化適応的な機能についてコミットメントから考察した名著「オデッセウスの鎖」の著者,経済学者のロバート・フランクの新刊である.フランクは進化心理学的な思考方法を取り入れたをほかにも何冊か出していて,書もとりあえず著者だけ見て購入した次第である. 結論から言うと書は一般人向け,学生向けの経済学の紹介書になっていて,進化心理学的な切り口はところどころに現れているだけだ.経済学書としては,大変わかりやすい日常の疑問から,その裏にある限界コストと限界効用などの経済学的なトピックを考えていこうという取り組みで,ヒトは物語形式の知識が

     「日常の疑問を経済学で考える」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2011/07/25
    「経済学の論文で難しい数式が多用されたり,社会科学の論文が難解なのも自分の能力を誇示しているシグナルである可能性があるとかの話題は面白い」
  •  「神はなぜいるのか?」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    神はなぜいるのか? (叢書コムニス 6) 作者: パスカルボイヤー,Pascal Boyer,鈴木光太郎,中村潔出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2008/03メディア: 単行購入: 4人 クリック: 185回この商品を含むブログ (17件) を見る 書は文化人類学者パスカル・ボイヤー*1によるもので,宗教の様々な活動を認知科学,進化心理学的に解説して見せたものである.原題は「Religion Explained」*2.「説明された宗教」ということで,書は邦題のように「神」が「存在する」理由を説明しているわけではない. 書の出版は2001年で,デネット,ドーキンスの一連の宗教に関する著書の先駆けとなっていて,これらのでも好意的に引用されている.私としても機会あれば読みたいと思っていたので訳出されて大変ありがたかった. さて,書の内容であるが,基の説明軸は,様々な宗教現象

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  •  「代数に惹かれた数学者たち」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    代数に惹かれた数学者たち 作者: ジョン・ダービーシャー,松浦俊輔出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2008/04/03メディア: 単行購入: 4人 クリック: 60回この商品を含むブログ (14件) を見る 著者ジョン・ダービーシャーは数学科出身のシステムアナリスト兼サイエンスライター.リーマン予想を取り扱った前作「素数に憑かれた人たち」は大変面白かった.リーマン予想がそもそも何か,この予想のどこがそれほど重大なのかを丁寧に丁寧に解説してくれていて,これまでわからなかった数学の美しさにふれることができる経験をさせてくれただった.そういうわけで,代数を扱った書は屋で見かけて速攻で購入していたものだ. さて書のスコープは「代数」.全体を通してメソポタミアから20世紀までの代数の歴史をたどる旅の構成になっている.これを読んでいくと解析や幾何と異なる「代数」という数学のカテゴリー

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  •  「飛び道具の人類史」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    飛び道具の人類史―火を投げるサルが宇宙を飛ぶまで 作者: アルフレッド・W.クロスビー,Alfred W. Crosby,小沢千重子出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2006/05/01メディア: 単行購入: 3人 クリック: 25回この商品を含むブログ (38件) を見る 原書の出版が2002年,書は2006年の出版で,ちょっと前のだ.原題は「Throwing Fire」で,飛び道具だけでなく火器も対象だ.著者は歴史家で,書は基的には歴史書なのだが,「人類史」とあるように最初の1/5ほどが人類の進化過程,次の1/5ほどが農業文明の勃興前の部分を扱っている. まずアウストラロピテクス時代の二足歩行にふれ,次に捕者としての人類の進化にとって投擲能力が重要であったのではないかという仮説を検討している.二足歩行,両眼視,ブラキエーションによる肩関節の自由度が前適応として効いて

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  •  公開シンポジウム 「戦争と人類学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    9月28日,日学術会議・自然人類学分科会の主催による公開シンポジウムが郷の東大キャンパスで開かれたので参加してきた.日学術会議とは「日学術会議は,科学が文化国家の基礎であるという確信の下,行政,産業及び国民生活に科学を反映,浸透させることを目的として,昭和24年(1949年)1月,内閣総理大臣の所轄の下,政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立され,職務は,科学に関する重要事項を審議し,その実現を図ること,科学に関する研究の連絡を図り,その能率を向上させること.役割は,主に I 政策提言,科学に関する審議, II 科学者コミュニティーの連携, III 科学に関する国際交流, IV 社会とのコミュニケーション」ということだそうだ.(同会ホームページより(一部省略))目的と職務と役割の微妙な違いとか何となく気になるところだが,このような公開シンポジウムはまさに趣旨にかなってい

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  •  「性淘汰」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    性淘汰―ヒトは動物の性から何を学べるのか 作者:マーリーン ズック発売日: 2008/10/01メディア: 単行 性淘汰にかかる有名な仮説にオスの派手な広告はパラサイト耐性にかかる正直なハンディキャップシグナルだという「ハミルトン=ズック仮説」があるが,書はその論文の共著者マーリーン・ズックによる2002年のである.原題は「Sexual Selections: What We Can and Can't Learn About Sex from Animals」.出版後6年たっての邦訳ということになる. 書は性淘汰についての科学啓蒙書ではない.残念ながらハミルトン=ズック仮説が解説されていたりするわけではない.副題からちょっと推測されるように,一般に広く広がる自然主義的誤謬,偏見からの認識のゆがみについてのであり,自らリベラルフェミニストであると自認し,かつ進化生物学者である著者

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    Nihonjin
    Nihonjin 2011/07/25
    フェミニズムと進化生物学
  •  「二本指の法則」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    指の法則―あなたの健康状態からセックスまでを語る秘密の数字 作者: ジョンマニング,John Manning,村田綾子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/11/21メディア: 単行購入: 5人 クリック: 94回この商品を含むブログ (3件) を見る ヒトの手の人差し指と薬指の長さの比が,実はヒトのいろいろな特徴の指標となっているという話は,最初はいかにも与太話のように聞こえる.私としてはあのトリヴァースが真面目に取り上げているのを見て考えを改めたわけだが,書は当初トリヴァースの共同研究者としてこの研究を始め,その後も追い続けている研究者ジョン・マニングによるである.原題は「The Finger Book」で2007年に出版されたもの.マニングにはこの前に「Digit Ratio」というも著していて,この話題に関しては2冊目のようだ. さてマニングは序章で自分の経歴

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  •  「人は意外に合理的」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く 作者: ティムハーフォード,遠藤真美出版社/メーカー: 武田ランダムハウスジャパン発売日: 2008/11/20メディア: 単行購入: 11人 クリック: 98回この商品を含むブログ (45件) を見る アリエリーの「予想どおりに不合理」と同じ時期に出版されていて,日では比較して書評されていることも多いようだが,書は人が合理的かどうかをひたすら問題にしているわけではないし,行動経済学を批判しているわけでもない.原題の「Logic of Life」からわかるように,むしろ人がミクロ的なインセンティブに如何に反応しているかを追求した知的試みだと評価できるだろう.(そういう意味では邦題はミスリーディングだ) とはいえ,最初に取り上げられるのは行動経済学の知見にかかるものだ.カーネマンやトヴェルスキーによって取り上げられた「所有効果」により

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    Nihonjin
    Nihonjin 2011/07/25
    「アクティングホワイトの問題が論じられる.アクティングホワイトとは,「白人の真似」というほどの意味で,アフリカ系アメリカ人の子どもたちの間では勉強することがいじめの原因になっているという現象」
  •  「名誉と暴力」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    名誉と暴力: アメリカ南部の文化と心理 作者: リチャード・E・ニスベット,ドヴ・コーエン,Richard E. Nisbett,Dov Cohen,石井敬子,結城雅樹出版社/メーカー: 北大路書房発売日: 2009/04/01メディア: 単行(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 46回この商品を含むブログ (3件) を見る 文化心理学者ニスベットとコーエンによるアメリカ南部の「名誉の文化」についてのである.アメリカ南部*1の文化とは何かというのは日人にはあまりなじみのないところだろう.「風と共に去りぬ」を見たり,読んだりした人なら何となく感覚はわかるかもしれない.ここでは南部諸州の白人の中で,「男性が礼儀正しく,名誉のためには死をも恐れない」というロマンスと上品さに満ち,他方で暴力的な側面も持つ文化があることを指している.私自身アメリカ南部で暮らしたことはなく何度か訪れたことが

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  •  「日本の殺人」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    の殺人 (ちくま新書) 作者: 河合幹雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2009/06/01メディア: 新書購入: 9人 クリック: 195回この商品を含むブログ (57件) を見る 裁判員制度開始を見据えた,法社会学者による日の殺人の概説書.書は日における殺人の実態と,殺人に関する刑事政策の概要をかなりわかりやすく伝えてくれる.私的な動機としてはデイリーとウィルソン,バス,長谷川眞理子たちによる進化心理学的殺人研究に関連した生データが得られるかと思って読んでみたものだ. さて,事実として日においては殺人の発生率が諸外国に比べて非常に低い.書は前半でその中でどのような比率,数でどのような殺人が行われているかを紹介し,後半でそのような殺人犯が刑事施策としてどのように取り扱われてきたか,そして今後どうすべきかが論じられている.(なお書では当然ながら進化心理学的なトピックに

    Nihonjin
    Nihonjin 2011/07/25
    「精神病と殺人の関係については,やや精神薄弱気味の殺人が多く,サイコパスのような異常性格によるものはほとんどないということらしい.サイコパスにとっては日本では殺人は割が合わないということなのだろう」
  •  「Sex and War」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Sex and War: How Biology Explains Warfare and Terrorism and Offers a Path to a Safer World 作者: Malcolm Potts,Thomas Hayden出版社/メーカー: BenBella Books発売日: 2010/06/22メディア: ペーパーバック クリック: 28回この商品を含むブログ (1件) を見る 書は産婦人科医かつ生物学者であり,世界中の戦争地域や開発途上国で家族計画(人口増加抑制のための避妊推奨活動など)を推進してきた実践家であるマルコム・ポッツによるヒトの性と戦争についてのである.特に進化心理の専門家というわけではないが,紛争地域で活動してきた経験を踏まえた提言により重みのあるになっている. まず最初にグドールの発見したチンパンジーの近隣グループへの殺戮行為が取り上げら

     「Sex and War」 - shorebird 進化心理学中心の書評など