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ブックマーク / blog.livedoor.jp/iseda503 (7)

  • Daily Life:生物学者は「自然主義的誤謬」概念をどう使ってきたか

    July 16, 2020 生物学者は「自然主義的誤謬」概念をどう使ってきたか 最近発表された人間行動進化学会の声明の中で、「自然主義的誤謬」という哲学由来の概念が使われていた。 そこでは、自然主義的誤謬が、「「自然の状態」を「あるべき状態だ」もしくは「望ましい状態だ」とする自然主義的誤謬と呼ばれる「間違い」」という言い方で紹介されている。これを倫理学者が聞いたなら「いや、自然主義的誤謬はそういう意味じゃないんだけどなあ」と言いたくなるところであろう。しかし、進化生物学者と「自然主義的誤謬」という概念の付き合いはかなり長く、それなりの経緯がある。稿の目的はとりあえずその経緯を追うことで、「自然主義的誤謬」という概念の適切な用法とはなんだろうかということを考えることである。 最初に断っておくが、稿はいかなる意味でも体系的なサーベイとはなっていない。どちらかといえば、目立つ事例いくつかをつ

    Nihonjin
    Nihonjin 2023/06/18
    「遺伝的バイアスが望ましくない具体例として、戦争をする傾向や子供をできるだけ多く生む傾向が、狩猟採集生活では適応的だったが現在ではむしろ破滅的であるということが挙げられている」/ウィルソンの言。
  • Daily Life:placebo

    March 03, 2010 placebo Placebo: Mind Over Matter in Modern Medicine 著者:Dylan Evans 販売元:HarperCollins Publishers Ltd 発売日:2004-01-19 クチコミを見る プラセボ効果について勉強中。Evansのはプラセボのメカニズム、進化的な背景、倫理問題などに踏み込んでいておもしろい。著者の仮説はimmune conditioningとよばれる仕組みのバリエーションがプラセボ効果ではないか、ということ。 このでは、ひとつの仮説として、「メガプラセボ効果」、つまりある種のプラセボは同じ症状に対する最良の医学的治療より高い効果を持つ、という仮説が提示されている(pp.155-157)。同一条件下ではもちろんEBMでみとめられた治療がプラセボより効果が高い(ほとんどEBMの定義により

  • Daily Life:「いただきますの倫理」はいつごろ広まったのか(1)

    May 29, 2018 「いただきますの倫理」はいつごろ広まったのか(1) 1 いただきますの倫理 日の文脈で動物倫理の議論、とりわけ肉をめぐる議論をしている際に無視できないのが「いただきますの倫理」とでも呼ぶべきものである。この倫理は、人によって内容に異同はあるものの、概ね以下のような主張から構成されている。 ・人間は動植物の命を犠牲にする(「命をいただく」)ことでしか生きていくことはできない。・人間はそうして犠牲になった動植物にせめて感謝を捧げなくてはならない。・その感謝の気持ちを表すのが「(命を)いただきます」という前のあいさつである。・この感謝の気持ちの当然の帰結として、材を無駄にする、べ残しをするといった行為は許されない。 日人の間で大変ポピュラーなこの考え方であるが、西洋流の動物倫理(19世紀型動物愛護、動物福祉、動物の権利等)の観点からは大変奇妙な考え方にうつ

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    Nihonjin 2019/08/10
    おもしろい
  • Daily Life:科学哲学と鳥類学の比喩をファインマンと結びつけたのは誰か

    February 13, 2019 科学哲学と鳥類学の比喩をファインマンと結びつけたのは誰か このブログの以前の記事「科学哲学と鳥類学の比喩」で、科学哲学と鳥類学の比喩については「ソースが思い出せないが」という但し書き付きでワインバーグが紹介したものである、という話を紹介した。そこでも宿題にしていたのが、ではこれをファインマンと結びつけたのは誰か、ということだった。 別に明確な答えが出たわけではないが、今のところの推測だけ書いておく。 この比喩とファインマンの名前を結びつけた例としてよく引用されるのが、A House Built on Sand にフィリップ・キッチャーが書いた文章である(1998年)。これはソーカル事件に対する科学哲学コミュニティからの応答といった性格のだったので、ソーカル事件やその周辺に興味のある人にはかなり広く読まれたと思われる。 Yet practicing sc

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    Nihonjin 2019/08/10
  • Daily Life:演繹と帰納についてのノート

    July 09, 2015 演繹と帰納についてのノート 以前他の分野の研究者の方と仕事をしていて、演繹というのを「普遍命題から個別命題を導く推論」と理解している方がいて、現代ではその意味で演繹を使うことはまずないです、とコメントしたことがある。しかしそういえば、演繹と帰納という言葉の用法はどのように変遷してきているのか、調べたことはなかった。今後綿密な調査は必要になると思うがとりあえず目立つものをならべておく。(数学的帰納法についてベインとサモンの項及び結論部分に追記しました。誤記をいくつか修正しました) (1) Mill, J.S.  Systems of Logic (1843) 英米の科学方法論の教科書として19世紀には非常に大きな影響力を持った。ただし、演繹と帰納の関係についてのミルの解釈は独特で、あらゆる推論は帰納であると主張して論争をまきおこした。「演繹」と「帰納」という言葉

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    Nihonjin 2016/10/14
    ミル~ジェヴォンズ~ホワイトヘッド、ラッセル~ヘンペル~サモン
  • Daily Life:予知能力

    February 01, 2011 予知能力 こちら経由で知った話題。予知能力を実証したという論文がJournal of Personality and Social Psychologyに載るというのでサイエンスでも記事になるくらい話題になっているらしい。 実験の概要は上の2つのリンクを参照。被験者はコンピュータ上に表示された二つのカーテンのうち一方をえらび、そのあとでコンピュータが乱数を使ってどちらかのカーテンの背後にエロ画像を用意する、という流れで、被験者がエロ画像を当てる率が有意に高いとか。 すぐに思いつくのは乱数がちゃんと乱数になってないんじゃないかという疑問だが、元論文を見ると、そのあたりはけっこう慎重に議論している。100人規模の実験で有意差が何度も出ているようなので「たまたま」も考えにくい。ざっと見たところJPSPに載るくらいだから方法論はしっかりしている。あとは使用したプ

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    Nihonjin 2011/07/21
  • Daily Life:ハーツォグ『ぼくらはそれでも肉を食う』

    July 21, 2011 ハーツォグ『ぼくらはそれでも肉をう』 ぼくらはそれでも肉をう―人と動物の奇妙な関係 Anthrozoologyの。Anthrozoologyは「ヒトと動物の関係学」と訳すのが日の学会の名前とも一致していいのだと思う(もっともヒトと動物の関係学会の英語名称はanthrozoologyではないのだが)が、書ではなぜか「人類動物学」と訳されている。 全体としてのメッセージは、動物に対する態度は、動物愛護の活動家であれ闘鶏愛好家であれその中間のもっと一般的な人であれ一貫していないのが心理的に普通だということで、著者自身による非常に多様な人々に対するインタビューと、さまざまな心理学的知見、社会調査の知見などが紹介されている。自分は「菜主義者」だと答える人の6割がなんらかの肉を24時間以内にべている、という調査結果などがおもしろい。 翻訳は、あとで指摘する細か

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