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ブックマーク / shorebird.hatenablog.com (56)

  • 書評 「ダーウィンの呪い」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    ダーウィンの呪い (講談社現代新書) 作者:千葉聡講談社Amazon 書は千葉聡による「ダーウィンの自然淘汰理論」(特にそれが社会にどのような含意を持つかについての誤解や誤用)が人間社会に与えた負の側面(書では「呪い」と呼ばれている)を描く一冊.当然ながら優生学が中心の話題になるが,それにとどまらず様々な問題を扱い,歴史的な掘り下げがある重厚な一冊になっている. 冒頭ではマスメディアがしばしばまき散らす「企業や大学はダーウィンが言うように競争原理の中でもまれるべきであり,変化に対応できないものは淘汰されるべきだ」という言説を,まさに「呪い」であると憂いている.そしてそれが「呪い」であるのは,「進歩せよ,闘いに勝て,そしてそれは自然から導かれた当然の規範である」というメッセージがあるからだと喝破している(それぞれ,「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」と名付けられている). 第

    書評 「ダーウィンの呪い」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2024/01/03
    「「方向性のない進化」は幸福な未来を保障せず,虚無をのぞき込むような恐ろしい世界観とつながるものであること(そして「進化の呪い」はそれを封印する護符」「社会的理想を持つものには滑落が生じやすい」
  • 書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    広がる! 進化心理学 朝倉書店Amazon 進化心理学は基的にヒトの行動や心理を進化的な視点から理解しようとする試みであり,極めて学際的な営みになる.書はそのような進化心理学の周辺分野の専門家たち(その多くは同時に進化心理学者でもある)による進化心理学が周辺分野に与えてきた影響,あるいはその親和性を解説する一冊になる.編者は小田亮と大坪庸介. 冒頭の「まえがき」は「なぜ書店の『心理学』の棚には『進化心理学』というコーナーがないのか」という面白い掴みから始まっている.基的に新しい分野でまだ認知度がなく,そういう書名のが少ないからだと思われるが,ここでは,進化心理学は他の○○心理学と異なり,○○にあたる内容を研究するのではなく,進化はその視座を表しているからだと説明されている.つまり進化心理学は認知科学,社会心理学,発達心理学のような内容による区分に横串を通すような分野であり,そのよう

    書評 「広がる! 進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2023/06/28
    「文化はヒトにとって重要な環境であり,文化を持つことは一種のニッチ構築だと考えられる」
  • 書評 「生物学者のための科学哲学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    生物学者のための科学哲学 勁草書房Amazon 書は生物学にかかわる科学哲学の主要トピックについて科学哲学者や科学史家たちが解説したもの.編者は科学哲学者のカンプラーキスと生物学者のウレルで,書名にもあるように想定読者としては生物学者が念頭に置かれている. これまでの生物学の科学哲学の入門書だと「種とは何か」「自然淘汰の単位は何か」「系統樹の推定はどのような営みか」「利他行動の進化とマルチレベル淘汰」「発生システム論」などの個別の各論のトピックが主要テーマになっているものが多いが,書が取り上げるものは必ずしも「生物学の科学哲学」に限らないということで,「説明」「知識」「理論とモデル」「概念」などの基礎ブロック的なテーマが数多く取り上げられていてなかなかハードな内容になっている.原題は「Philosophy of Science for Biologists」. 第1章 なぜ生物学者は科

    書評 「生物学者のための科学哲学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2023/06/28
    「第6章は生物学的(そして科学一般の)概念のほとんどがメタファーであることについて」
  • 書評 「進化的人間考」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化的人間考 作者:長谷川眞理子東京大学出版会Amazon 書は長谷川眞理子による「ヒトの特殊性」についてのになる.もともとは東京大学出版会のPR誌「UP」に2010~2012年にかけて「進化的人間考」として連載されたもので,それに少子化,犯罪,進化心理学についてのいくつかの雑誌寄稿*1を加え,最新の知見等にあわせ一部改訂し,一冊にしたものだ. 第1章ではヒトを探究する学問についての俯瞰的な解説がなされている.もともと人間についての探求は哲学として始まり,法学,経済学,社会学,倫理学,心理学,民族学,文化人類学と広がり,片方で自然人類学がある.自然人類学は長らく化石からの考察が中心だったが近時ゲノム解析が進み生態学,行動学,神経科学を取り込んで包括的に人類進化を解明できるようになった.そしてこれらを統合できないかというのが著者が長年取り組んできたことになる. ここから社会生物学論争,人

    書評 「進化的人間考」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2023/06/28
    「そもそもほしい子どもの数は女性の方が少ない,また男性も多くの配偶相手を獲得するより子育て投資を重視(…)女性の投資戦略が子育て投資一辺倒から,自己投資(教育,仕事,夢の実現)や配偶者選択投資に」
  • 書評 「進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    進化心理学 (放送大学教材) 作者:大坪 庸介放送大学教育振興会Amazon 書は進化心理学者大坪庸介の手になる進化心理学の教科書だ.今2023年度から放送大学で「進化心理学」が開講され,その教材として出版されたものだ.放送大学なら(BS視聴環境があれば)誰でも視聴でき,このようにテキストも出版されているので,初学者にとってはとてもうれしい学習環境になったというべきだろう. 冒頭の「まえがき」でいきなり,「進化心理学について学びすぎないようにしてください」とあって驚かされるが,教科書に書いてあることを鵜呑みにするのではなく自分で考えることによって理解が深まるのだという趣旨のようだ.そして進化心理学は「進化・適応」という大原則から統一的な理解が得られるという面白さがあること,進化的な説明が現代の倫理観とかけ離れたものであることが多く,誤謬のリスクがある反面,価値中立的に事実を評価することに

    書評 「進化心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2023/06/28
    「*9:これがセクシャルハラスメントや強制わいせつと関連する問題であることが指摘されている」
  •  「したがるオスと嫌がるメスの生物学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界 (集英社新書) 作者: 宮竹貴久出版社/メーカー: 集英社発売日: 2018/03/16メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書は昆虫学者宮竹による性的コンフリクトを扱った一冊.序章にあたる「はじめに」がかなり率直で楽しい.まず虫にも個性があることが強調され,そして昆虫の交尾行動を研究し続けてきた著者による「虫のオスにとってのモテの極意」が述べられている.それはまず「アクティブ&マメであること」だが,さらに重要なのは「アクティブになるタイミング」なのだそうだ.そして最後に著者の学者としての心意気も書かれている.現在岡山大学の教授である著者は数年前に管理職となる.そして「これを続けていくと,管理職手当は増え,定年退職後には新たな就職先も準備され,困らない老後を過ごせる」のだが,やってみるとそれは苦痛

    Nihonjin
    Nihonjin 2019/06/20
    「さらに負けたオスは,逃走中にメスに出合うとちゃんと交尾を試み,その際には精子数が(そうでないときに比べて)倍増する」
  •  「The Better Angels of Our Nature」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Better Angels of Our Nature: Why Violence Has Declined 作者:Pinker, Steven発売日: 2011/10/04メディア: ハードカバー 書は認知科学,認知言語学,進化心理学者であるスティーヴン・ピンカーによる最新刊で,ヒトの歴史における暴力減少傾向という現象を扱っている. この「ヒトの社会において,暴力は歴史を通じてほぼ一貫して低下する傾向にあった」という主張は多くの読者にとっては驚きと懐疑をもって迎えられるだろう.特に文明が起こり,国家間戦争が生じるようになる前の狩猟採集社会が非常に暴力的であったことはあまり知られていないし,中世の農村社会は平和だったと思っている人も多いだろう.さらに二つの世界大戦とホロコースト,さらに全体主義国家による大規模な粛正を経験した20世紀,現在の途上国における内戦による荒廃や自殺テロの

     「The Better Angels of Our Nature」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2019/06/15
    「ここで悪魔については「自己欺瞞」が加わると事態が非常に悪化することを指摘している.本書はトリヴァースの「The Folly of Fools」と同時期に刊行されている」
  •  「What Women Want」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Mate: Become the Man Women Want (English Edition) 作者: Tucker Max,PhD, Geoffrey Miller出版社/メーカー: Little, Brown and Company発売日: 2015/09/15メディア: Kindle版この商品を含むブログ (1件) を見る 書*1は,酒と女性についてのユーモアエッセイストとして有名なタッカー・マックスが,「Mating Mind(邦題:恋人選びの心)」でヒトの多くの特徴について性淘汰産物ではないかと議論したジェフリー・ミラーと一緒に書いた,いわば「オタク*2のための進化心理学的な知見を生かした『女性とつきあうためのハウツー書』」である. 序章で書執筆にいたる経緯が書かれていて面白い. 書はある年のサンクスギビングにミラーがガールフレンドのいない若いいとこたちと話をしたときの

     「What Women Want」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2018/01/14
    「私的には,これはおそらく初めての本格的な進化心理学の実践的応用の試みだというところに関心がある」
  •  「Why everyone (else) is a hypocrite」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    Why Everyone (Else) Is a Hypocrite: Evolution and the Modular Mind 作者: Robert Kurzban出版社/メーカー: Princeton Univ Pr発売日: 2011/01/03メディア: ハードカバー購入: 4人 クリック: 174回この商品を含むブログ (25件) を見る 書は進化心理学者ロバート・クツバン*1によるヒトの心のモジュール性,そしてそれによる道徳と偽善の説明のである.ヒトの心がモジュール的であるというのは,進化心理学勃興時から強調されていたことで,コスミデスとトゥービイがこれをスイスアーミーナイフに例えていることは有名だ.多くの進化心理学のリサーチはその一つ一つのモジュールがどうなっているのかをみていくものだが,書では「ヒトの心が多くのモジュールの集合体である」というモジュール性から何が説明

     「Why everyone (else) is a hypocrite」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/10/19
    モジュール性から自己欺瞞
  •  「うそつきの進化論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    うそつきの進化論―無意識にだまそうとする心 作者: デイヴィッド・リヴィングストンスミス,David Livingstone Smith,三宅真砂子出版社/メーカー: 日放送出版協会発売日: 2006/08メディア: 単行購入: 4人 クリック: 57回この商品を含むブログ (19件) を見る <少し長い前置き> 自己欺瞞の進化的な説明はトリヴァースに始まる.彼はドーキンスの「利己的な遺伝子」の初版の序文において,ドーキンスが描いた世界の延長のひとつの例として動物のコミュニケーションが相手を操作しようというものなら,嘘をつく方向,次に嘘を見抜く方向,そして嘘を見抜かれないように自己欺瞞をよしとする方向に強い淘汰圧がかかるだろうと記している. ピンカーは「心の仕組み」でトリヴァース説を紹介し,嘘をつくのが難しいこと,それはそうであるからこそ,そのような情動が進化したと考えるべきこと,そし

     「うそつきの進化論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/10/19
    「そして無意識に語られるストーリーの解釈の世界に入っていく.ここは非常に興味深いが,(著者自身も何回も何回も断り書きしているように)通常のリサーチプログラムとは異質の世界だ」
  •  「The Sense of Style」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Sense of Style: The Thinking Person's Guide to Writing in the 21st Century (English Edition) 作者:Pinker, StevenPenguin BooksAmazon 書はスティーヴン・ピンカーによる「文章の書き方教」,いわゆるスタイルマニュアルだ.ここでピンカーが取り扱うのは,何かの事実・知識を読者に伝えようとするノンフィクションの書き方についてだ. 序言では,ピンカー自身スタイルマニュアルを読むのが好きだとコメントしている.それは,マニュアル自身がよい文章の見であるからだという理由もあるが,「よい文章スタイルとはどういうものか」という問題は,結局「自分の伝えたい考えと相手の心をつなぐにはどうするのがよいのか」という問題であり,言語心理学,認知科学的にも興味深いからだと説明されている

     「The Sense of Style」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/01/04
    「書き手が自分の書く文章のツリー構造は簡単に理解できると思ってしまうのは「知識の呪い」の文法バージョンなのだ.(ピンカーはこれを避けるために「声に出して読んでみること」を勧めている)」
  •  「腐女子の心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    腐女子の心理学 彼女たちはなぜBL(男性同性愛)を好むのか? 作者: 山岡重行出版社/メーカー: 福村出版発売日: 2016/06/09メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る 書は社会心理学,パーソナリティ心理学の視点から「腐女子」についてのリサーチを行った結果をまとめただ.元々マイノリティとそれに対する差別の心理(正確には「少数派の意識と,多数派の少数派に対する意識」)をリサーチしていた著者が,学生から「腐女子」をテーマに卒論を書きたいと相談されることが多くなり,基礎的な文献がないこともあって自ら行ったり指導してきたリサーチをにしたという経緯を持つ.だからこの分野の基礎的な文献になることを目指した専門書であり,構成的には多くのリサーチテーマについて,それぞれテーマの解説,調査方法,結果,考察という形で書かれており,かなり硬派なに仕上がっている. なお書では「腐

     「腐女子の心理学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/01/03
    「BLを好むのは『異常』でも何でもなく,まして腐っているわけではない.BLは『正常』な女性の配偶者選択にかかる選好の『エッセンス』を凝縮した物語であり,全世界に同じような物語を好む愛好者がいるのだ」
  •  「セックスと恋愛の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    セックスと恋愛経済学―超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業 作者:マリナ・アドシェイド東洋経済新報社Amazon 書は経済学者マリナ・アドシェイドがセックスと恋愛に絡むミクロ経済学的分析をかなり赤裸々に講義してくれるもので,進化心理学的には説明すべき現象としていろいろと興味深いものだ.原題は「Dollars and Sex: How Economics Influences Sex and Love」. 書では基的に様々な経済的な環境がヒトの恋愛,セックス,結婚離婚の意思決定にどう影響を与えるかが分析されている.その選好や動機はすでにある事実として前提になっていてそこを説明しようとするものではない.(もっともアドシェイドは一部進化的にこれを説明しようと試みているが,その部分はかなりスロッピーで残念な議論*1になってしまっている.) 全体の構成としては,若いときから子

     「セックスと恋愛の経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/01/03
    「アメリカでは女性の方が大学教育を受ける割合が高く」「キャンパス内でのセックス市場の需給を女性にとって不利に傾けて事実上買い手市場にしており,さらに効果的な避妊方法が普及したことから,性の乱れが増え」
  •  「オンラインデートで学ぶ経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    オンラインデートで学ぶ経済学 作者: ポール・オイヤー,安藤至大(解説),土方奈美出版社/メーカー: エヌティティ出版発売日: 2016/06/29メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る 書は経済学者であるポール・オイヤーが「自らのオンラインデートサイトの利用経験を題材に経済学の初歩を解説する」という趣向で書いた経済学の初学者向け副読向けのだ.オイヤーは配偶者と別居中の経済学者でオンラインデートサイトで新しいパートナーを見つけようと考え,その経験をもとにを書くことにしたのだ.アメリカでは日よりかなり格的にオンラインデートサイトが利用されていて,著者のような利用はごく普通の出来事のようだ.厚みのあるオンラインデートサイト市場で得られる知見は進化心理学的にも面白いかと思って手に取った一冊だが,オンラインデートにフォーカスを当てているというよりも,題

     「オンラインデートで学ぶ経済学」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/01/03
    「それ以外の影響は小さい.教育水準は男性に少し影響するが女性にはほとんど影響を与えない.女性は,法律家,医者,軍人,消防士の男性により魅力を感じるが,男性は女性の職業には一切こだわらない」
  • 心理学評論特集「心理学の再現可能性:我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    昨年,Science誌に,心理学実験の研究論文について重大な疑義を投げかける論文「Estimating the reproducibility of psychological science」が掲載された.これは心理学者にとってはまさに衝撃的な内容だった. http://science.sciencemag.org/content/349/6251/aac4716 Estimating the reproducibility of psychological science Open Science Collaboration アブストはおおむね以下のような内容だ. <導入> 再現性は科学の決定的な特徴だ.しかし最近のリサーチでそれがどこまでその特徴とできるのかは知られていない.科学的な主張は現著者の地位や権威によって信頼性を得るべきではない.それは支持証拠の再現性によるべきだ. しかし

    心理学評論特集「心理学の再現可能性:我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2017/01/03
    「p-hacking:行った実験の様々な条件や変数のうち一部しか報告しない.データを足しながら何度も分析し,有意差が出たところでデータ収集を止める.様々な共変量で解析し,有意になった組み合わせのみ報告する」
  •  「旧約聖書のゲーム理論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    旧約聖書のゲーム理論―ゲーム・プレーヤーとしての神 作者: スティーブン・J.ブラムス,Steven J. Brams,川越敏司出版社/メーカー: 東洋経済新報社発売日: 2006/05/01メディア: 単行購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (8件) を見る 書は米国の社会選択論やゲーム理論の分野で活躍している政治学者ブラムスにより.旧訳聖書の物語を題材にして書かれたゲーム理論のである.ちょうどデネットやドーキンスの宗教を読んでいることもあり,面白そうなので読んでみた.題材がアメリカ人になじみのある旧約聖書からとられているが,著者はゲーム理論家だし,基ゲーム理論のだろうと思って読み進めていくと,そういう面もあるのだが,むしろゲーム理論を応用した旧約聖書の解釈の方が比重としては重くなっている. ゲーム理論的には逐次選択型の2×2型のノンゼロサムゲームが主体.

     「旧約聖書のゲーム理論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2016/11/17
    「神をゲーム理論のプレーヤーとして扱うために,神は全知でも全能でもないことが前提になっている.というより旧約聖書を普通に読む限り,神は全知でも全能でもあり得ないと言うことだと思う」
  •  「現実を生きるサル 空想を語るヒト」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    現実を生きるサル 空想を語るヒト―人間と動物をへだてる、たった2つの違い 作者: トーマス・ズデンドルフ,寺町朋子出版社/メーカー: 白揚社発売日: 2014/12/10メディア: 単行この商品を含むブログ (2件) を見る 書はトーマス・ズデンドルフによるヒトと動物の間の心の違いについてのだ.ズデンドルフは,言語の身振り起源説を唱えたことで有名な認知科学者のマイケル・コーバリスの弟子筋に当たる研究者で,ヒトと大型類人猿との比較認知,比較心理,ヒトの心理の進化などを専門としている.書の中心となる主張は,「ヒトと動物の心の違い(ヒトの特異性)は,主に『再帰構造を持つシナリオ構築力』と『心を他者の心と結びつけたいという衝動』にある」というものだが,それを説得的に示すためにこれまでの関連分野のリサーチを驚くほど丁寧に総説している.原題は「The Gap: The Science of W

     「現実を生きるサル 空想を語るヒト」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2016/02/01
    「再帰的なシナリオ構築力と他者の心とつながる意欲により合理的な推論ができるようになった」「ある研究者はメスのオランウータンに執拗にせまられ,拒否するとその後テストに協力してくれなくなったそうだ」
  •  「The Folly of Fools」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    The Folly of Fools: The Logic of Deceit and Self-Deception in Human Life 作者: Robert Trivers出版社/メーカー: Basic Books発売日: 2011/10/25メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 61回この商品を含むブログを見る 書は互恵的利他行為,親の投資,コンフリクトなどの数々の啓発的な進化理論を主導したことで知られる進化生物学者ロバート・トリヴァースによる自己欺瞞についてのだ.トリヴァースは「動物の信号が(ドーキンスのいうように)他者への操作のためだとしたら,それは相手側に嘘を見抜くような対抗進化を生じ,さらに操作側に見破られないための自己欺瞞が進化するだろう」というアイデアを最初に思いつき,それを1976年のドーキンスの「利己的な遺伝子」初版の序文で提示したことで知られて

     「The Folly of Fools」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2015/11/29
    「このほか「男性と女性がそれぞれ相手に求めるものが異なること*7」「浮気の有無*8」「排卵隠蔽」「ホモの否定」など」
  • トリヴァースによる進化生物学者たちの想い出 追加情報  - shorebird 進化心理学中心の書評など

    先日トリヴァースが著名な進化生物学者たちの想い出をネットで公開しているのを紹介した.http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20150517 (この原文は「Vignettes of Famous Evolutionary Biologists, Large and Small」と題されている.http://www.unz.com/article/vignettes-of-famous-evolutionary-biologists-large-and-small/) そして今月トリヴァースの自伝「Wild Life: Adventures of an Evolutionary Biologist」が刊行され,早速電子書籍版をダウンロードしたのだが*1,目次を見ると何と第13章がそのまま「Vignettes of Famous Evolutionary Biologi

    トリヴァースによる進化生物学者たちの想い出 追加情報  - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2015/11/29
    「私はその頃には自己欺瞞の機能は他者を騙すためにあるのだと考えるようになっていた.何千年以上にわたるヒトの心の謎に関する解答だと思っていた.そしてドーキンスはその本でまさに騙しを強調していたのだ」
  •  「奴隷のしつけ方 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など

    奴隷のしつけ方 作者: マルクスシドニウスファルクス,ジェリートナー,橘明美出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2015/05/28メディア: 単行この商品を含むブログ (14件) を見る 書はケンブリッジの古典学の専門家ジェリー・トナーによるもので,古代ローマ時代の奴隷について架空のローマ人が書いた書物という体裁で著述されている.だから書の著者名はあくまでマルクス・シドニウス・ファルクスと表記されているのだ.邦題は「しつけ方」となっているが,原題は「How to Manage Your Slaves」であり,単にしつけの問題ではなくどのようにマネージするか全般が書かれている. 購入ノウハウ,活用法(どのような仕事にどう就かせるか,どう事を与えるかなど),罰し方が前半の主要部分になる.購入については当時の様々な状況の説明が面白い.逃亡癖があったり,実は自由人である場合(自由人を海

     「奴隷のしつけ方 」 - shorebird 進化心理学中心の書評など
    Nihonjin
    Nihonjin 2015/10/18
    「言語と意志と希望を持つ「家畜」の生産性をあげるためにはどうすればいいかということ」「女性奴隷の繁殖問題をのぞけば,基本的にどのように奴隷のインセンティブをマネジメントするかが究極的に重要」