スタジオジブリの最新作『かぐや姫の物語』が今月23日、公開される。事前情報の極めて少ない本作ではあるが、今年夏公開の宮崎駿監督作品『風立ちぬ』上映前に流された予告篇は衝撃的であった。屋敷の廊下を、路上を、山中を、死にもの狂いで疾走する女性を捕らえた約70「秒の鬼気迫る映像は、まだ見ぬこの映画に対する観客の関心を激しく掻き立てた。これほど心を打たれる予告も珍しい。 『かぐや姫』監督の高畑勲は宮崎駿と並ぶスタジオジブリの二大巨頭と言われているが、彼について語られた文献、資料は宮崎に関するそれと比べ、極めて少ない。『アルプスの少女ハイジ』や『火垂るの墓』など、誰もが知っているような国民的アニメを数多く作った人間にも関わらず、である。高畑氏は今年で83歳。前作『ホーホケキョとなりの山田くん』(1999年公開)から14年の歳月がかかっていることを考えると、今回『かぐや姫の物語』が高畑監督最後の作品と