11/14エントリでは、軍事費の景気刺激効果が他の公共支出に比べ劣る、という研究を紹介した。また、バロー等の軍事費の乗数効果は1未満という研究にも言及した。 そのバロー等の10/30voxeu論説に対抗するように、11/18のvoxeuでは、アイケングリーン等のチームが、軍事費の乗数効果は(少なくとも流動性の罠の下では)2以上あるという研究結果を発表した(元の論文はこちら)。 両者の結果の違いをもたらした主な原因は、用いたデータにある。バロー等が米国の90年以上のヒストリカルデータを使用したのに対し、アイケングリーン等は1925-39年の国際連盟加盟国を主体とする27ヶ国のデータを用いている。ここで期間を1925-39年としたのは、彼らの興味の焦点が大恐慌下での金融財政政策の効果にあったためである。ちなみにこの期間には、ヒトラーによるドイツの再軍備や、ムッソリーニによるアビシニア侵入といっ