【撮影:初沢亜利】 ◆「ポイント・オブ・ノー・リターン」 「ポイント・オブ・ノー・リターン(引き返し不能地点)」――今回の沖縄県知事選挙の結果に、この言葉を思い出した。 沖縄がまだ米軍統治下にあった1968年12月に、当時国務省の日本担当をしていたリチャード・スナイダーが出張先の沖縄から国務省に送った報告に出てくる言葉である。 約1カ月前の11月10日、沖縄では初めての琉球政府行政主席(現在の知事)の選挙が実施された。琉球政府行政主席はそれまで米占領軍トップの高等弁務官の任命制だったが、沖縄県民の強い自治拡大の要求をアメリカも無視できなくなったのであった。 選挙には、保守陣営から那覇市長だった西銘順治氏、革新陣営から屋良朝苗氏が出馬した。アメリカは「即時無条件全面返還、米軍基地撤去」を公約に掲げる屋良氏の当選を阻止するために、日本政府・自民党と結託して様々な介入を行った。アメリカは表の経済