長崎県南島原市が彫刻家からマリア像の寄贈を打診され、展示施設の改修などに予算を計上したところ、市民から「憲法の政教分離に反する」との指摘を受け、受け入れを断念した。市は「政教分離に抵触はしないが、混乱を避けるため」と説明する。「展示は信教の自由を侵す」「憲法違反にはあたらない」と専門家の見方も割れる。 像はマリアが幼いキリストを抱く聖母子像で、高さ9・5メートル。神奈川県藤沢市の彫刻家、親松英治さん(81)が木彫りで作った。カトリック信者の親松さんは、江戸幕府によるキリスト教弾圧「島原の乱」の舞台となった南島原市の原城跡を訪れた際、犠牲者を鎮魂しようと制作を決め、約30年かけて完成。市に寄贈する意向を伝えていた。 受け入れを決めた市は像の展示に向け、市の「有馬キリシタン遺産記念館」の改修費など約2800万円を今年度予算に計上。市内には原城跡など、来年の世界遺産登録をめざす「長崎の教会群とキ