「いやーあの出汁巻き玉子、よかったねえ。旨味があふれるとはまさにあれ」 「中心が熱くてね。あと最後の泡盛も面白かったです」 「ね? あの通りのあの位置で長続きしてて、気持ち微妙に高そうな和食系。ずっと何かあると思ってたんだよ」 「前から言ってたね」 「位置から逆算するんだよ。通り1本か2本、面倒な位置で…」 「小池都知事はさ、前任者やその部下たちの弱点をがんがん追求して、いよいよもう刃が喉元にふれた、頸が落とされる、というところでフッとやめて、とどめをささない。ああいうのが上手い。あれは暴けば汚く後ろ暗いものがぞろぞろ出てきて、たぶん相手方は連鎖的にごっそり吹っ飛んだと思う。でもそこまで追い詰めておいてから、スッと追求をやめて、吹っ飛ばさない」 「なるほど?」 「ふっとばしたら終わりだが、刃をつきつけてから生かし続けておけば、その相手はトークンなりカードなり、使い続けられるというわけか」