豊田秀樹『金鉱を掘り当てる統計学 データマイニング入門』という本から。示唆的なので、長めに引用。「1.1 統計学の憂鬱」より。※小見出しのゴシックはstrongタグで表現。ルビ、注は省略 検定論の憂鬱 統計的検定論の理論的枠組は,アメリカで活躍した数理統計学者のワルドやレーマンの独創的な業績によって,1950年代に完成してしまっている。極論するならば,それ以後は,その理論の精緻化,および具体的な検定法の開発が続いているだけの状態ともいえる。 ただし,検定法の理論研究の枠組みは,優秀な先人達が練りに練り上げたものなので,一朝一夕に参加できる研究課題ではなくなっていた。理論体系が洗練されたことによって,研究に参加するためには,長期にわたる数理統計学的な「修業」を必要とし,皮肉なことに,そのことが検定を作る側と使う側の明確な分離を生じさせ,実質科学的な要請が検定論に反映されにくい下地を作ってしま